
車検で不合格になりやすい箇所【サイドスリップ・ブレーキ・スピードメーター・ライト測定編】
シリーズでお伝えしている【車検で不合格になりやすい箇所】も今回が第3回になります
いよいよ検査コース建屋内に入って「測定機器による検査」が行われます
検査順序は一般的に以下のようになります
- ①サイドスリップの検査
- ②ブレーキの制動力と引きずりの検査
- ③スピードメーターの検査
- ④ヘッドライトの光軸・光量の検査
- ⑤排気ガスの検査
の順です
前回までの記事は以下のリンク先になります、まだご覧になっていない方はそちらも参考にされてください
第1回は「ボディ・電気周りとエンジンルーム編」です
以下のページをご覧ください
第2回は「メーター周り・車内編」です
以下のページをご覧ください
車検に必要な書類関係については以下のページを参照ください
車検コースの検査の仕方については以下のページを参照ください
それでは検査コース建屋内に入っていきましょう
そして測定機器による検査が始まります

また以前ご紹介したように検査コース初心者の方は係員に申し出れば「誘導」の表示板を貸してもらえますので車検書類一式を渡す時に検査官に「初めてです」と伝えてください
サイドスリップの検査
建屋内のコースに入っていくと一番初めに検査するのが「サイドスリップの検査」です、支局によっては排気ガスの検査をはじめに行うところもあります
これは検査コース建屋内の換気の問題ではじめに入り口付近で行うという事です、一般的には今でも検査機器類での検査の最後になります
では検査機器を使った検査で特に指摘されやすい箇所や部品について説明していきます
非常に多いサイドスリップ(トーイン・トーアウト)の不合格
まずサイドスリップの検査ですが車をゆっくり(人が歩く程度の速度〜時速4キロほど)で真っ直ぐにテスター上を直進して測定します
サイドスリップ検査で1メートル走行して内側または外側に何ミリズレているかで合否の判定が決まります
内側・外側共に5mm以内であれば検査は合格です
5ミリ以内であれば直進安定性は保たれ安全に走行できるという事です
1回目や2回目の車検で走行距離も2~3万キロほどまでであればサイドスリップが狂う事はあまりないのですが
年数や距離数が増えてくると各部の劣化や損傷などでサイドスリップが狂ってきます
またタイヤサイズの変更や空気圧や摩耗などでタイヤの管理が適正になされていないと不合格になる場合があります
タイヤの管理に関しては目に見えるのでわかると思いますが、下回りのタイロットやゴム部品の劣化や損傷の不具合の判定は素人には難しいと思います
下回りのタイロットエンドやラックエンドのジョイント部のガタ・ブッシュ類の劣化によるガタでもサイドスリップは狂ってきていくら調整しても調整できない場合もあります
永年車や走行キロ数の多いクルマに関しては12ヶ月点検を実施されて不具合箇所を修理した上で検査に挑まれた方が良いでしょう
ブレーキ制動力の検査
サイドスリップの検査の次はフロントブレーキの検査です、フットブレーキを思いっきり強く踏まないと合格できない場合もあるので意識しておきましょう
ブレーキ制動力の不具合による不合格
1回目の検査で表示板に❌が表示されても直ぐに2回目の検査をしますので改めてフットブレーキを強く踏んで検査に挑みます
まれに2回とも❌がでて不合格になる場合があります
その場合にはブレーキ関係の再修理が必要になってきます、このことも考えると特に永年車や走行キロ数の多いクルマは車検整備をしてから検査に挑まれた方が良いでしょう
デスクパットやライニングは劣化すると効きが悪くなります、あまり走行距離を走っていなくても新車時から何年も経っているとブレーキの効きは悪くなります
またデスクパットやライニングは摩耗してパットやライニング残量が少なくなってきてもブレーキの効きが悪くなります、熱による劣化で硬くなるためです
ブレーキ関係の検査はリヤフットブレーキ・サイドブレーキ(駐車ブレーキ)も同じように検査します
ブレーキ検査で不合格になった場合も当日中の車検取得は困難になります、不安な場合は前もって仮車検場などで検査を実施して不具合のある場合には修理しておきましょう
スピードメーターの検査

スピードメーターの検査は検査ローラーで駆動輪を回しメーター表示速度が40キロになったらライトをパッシングして検査官に合図して検査します
メーター表示速度と実速度が基準値に入っていれば検査合格です
スピードメーターの保安基準は以下のページに詳しく書かれていますが非常に難解です
※道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2016.06.18】〈第三節〉第226条(速度計等)
https://www.mlit.go.jp/common/000187678.pdf〜国土交通省HP参照
スピードメーターの基準値
余談ですが…一部例外もあることをご了承頂き、メーカーや車種によって違いますが、一般的にスピードメーターの表示スピードは実速度よりも3キロほど早く表示されています
上記サイトの保安基準内のスピードメーターの基準値を計算するとメーター表示速度40キロの場合、実速度が約32~42キロ以内であれば検査は合格するということになります
よってメーター表示速度40キロで走行していたとして車種によってですが実速度37キロで走行していることになるので保安基準値内で検査は合格となります
これは安全運転上故意にメーターに表示されるスピードを高くする事により安全運転を意識させているものと思われます
またタイヤを規格外に交換したり空気圧の管理が不十分な場合やタイヤが摩耗している場合もスピードメーター表示速度は変わってきます
スピードメーターの検査に関しては著しい明らかにわかる誤差やメーターの針の振れが大きい場合には前もって仮検査場で確認された方が良いでしょう
ヘッドライトの光軸・光量の検査
前照灯(ヘッドライト)にも光軸や光量などの細かな保安基準の規定があります
全灯点灯で前方100mの障害物を確認できること、全灯点灯で明るさが43万cd以下、色は白色(製造年による)などや取り付け高さなども保安基準に規定されています
詳しくは以下のページを参照ください
※道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2019.11.15】〈第3節〉第 198 条(前照灯等)
https://www.mlit.go.jp/common/001056460.pdf〜国土交通省HP参照
ライトの光軸・光量の不具合による不合格
前照灯の検査はヘッドライトを上向きにして、ライトの光軸・光量・乱反射がないかなどを検査機器にて調べます
上向き検査で合格できない場合には、下向き検査でも検査をします
下向き検査でも合格できない場合にはヘッドライト本体かバルブに問題がある場合があります
ヘッドライト本体のレンズの劣化やバルブ反射板の劣化などにより乱反射や光量不足を起こしている場合があります、点検修理してから再検査になります
また近年はHIDやLEDバルブを後付けして車検を受けている車もあります、一部車種にはバルブと純正レンズや反射板の相性が悪く車検が通らない場合も多々あります
社外品に交換された場合やヘッドライトの劣化が進んでいるものに関しては仮検査場などで検査して修理してから車検を受けるようにされた方が良いでしょう
またヘッドライト内に著しい雨漏れなど水分の侵入がある場合も修理してから車検に挑みましょう
排気ガスの検査
測定機器による最後の検査は排気ガス測定検査です
排気ガスに関する保安基準は以下のようになっています
※道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2019.2.15】(第3節) 第197条(自動車のばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置)
https://www.mlit.go.jp/common/001205309.pdf〜国土交通省HP参照
排気ガスの測定方法は暖機アイドリング状態の自動車の排気管内にプローブ(一酸化炭素又は炭化水素の測定器の排出ガス採取部)を60cm程度挿入して測定します
普通車においては
- 一酸化炭素(CO)〜1%以下
- 炭化水素〜(HC)100万分の300(300ppm)以下
軽自動車においては
- 一酸化炭素(CO)〜2%以下
- 炭化水素(HC)〜100万分の500(500ppm)以下
になります
ジーゼル車などの原動機形式の違いや車種により排気ガスの保安基準値は変わってきます、上記した国土交通省HPの保安基準を参照されてください
予備検査の必要性
ご覧いただいたように計測機器による検査はハッキリと保安基準値が規定されており規定値内に入っていなければ車検を通すことはできません
事前点検時においても目視や触診で確認できない箇所が多々あります
前もって12ヶ月点検や仮車検場などで検査を行ってから車検に挑むことを強くお勧めします
仮車検場では電気周り・サイドスリップ・ブレーキ制動力・ライト測定・スピードメーター測定・排気ガス測定などの仮検査と調整ができます
一部、調整など対応のできない場合もありますが、測定機器に関する全ての事前確認ができて調整出来るものに対してはクイックで対応してくれます
料金も全コースお願いしても5千円ほどで対応してくれます、私のように整備関係者の場合は3~4千円ほどで受け付けてもらえます
一般の方でもツナギを着て関係者のようにしていくと安くなるかもしれません
各運輸支局の周りには必ずと言って良いほど「仮車検場」が点在しています、「メーター屋」として昔から親しまれています
本車検のコースに入る前には是非!そちらを利用されることを勧めます
まとめ
第3回目の「車検時に不合格になりやすい箇所」は【サイドスリップ・ブレーキ・スピードメーター・ライト・排気ガス測定編】でした
検査機器による車検の合否判定には「グレーゾーン」は全くありません
まさに保安基準の基準数値をクリアしないと車検は不合格になります
現代の車はコンピューター化されており、ブレーキ制御や排気ガス測定にも大きく関係しています
12ヶ月点検の実施や仮検査における測定機器を使った検査も必須になってきています、ご自身で出来ない点検や修理は業者にお願いして
自分で点検修理できる部分は実施してユーザー車検を受けるのが最終的には早くて・安く・間違いなく、一回で車検を通すためにも必要な処置なのではないかと思います
最後まで読んでいただいてありがとうございます
次回は最後の検査の行程「下回りの検査」になります、一体どこが不具合箇所として指摘されやすいのか一緒に見ていきましょう
ディラーでの整備士・フロントマンを経て、営業車の元整備管理者としてクルマの整備業界に40年以上たずさわってきた経験から解説します
次回もお楽しみに
ではまた次の記事でお会いしましょう