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不具合連鎖「プリウス」リコールからの警鐘 〜読書レビュー 後編

不具合連鎖「プリウス」リコールからの警鐘 〜読書レビュー後編

不具合連鎖「プリウス」リコールからの警鐘 〜読書レビュー 後編

前編では アメリカで起こった トヨタのハイブリッド車の 暴走事故から始まり フロアマットの問題や トヨタのリコールに対しての 対応の あまさが アメリカ 国民の痛烈な批判 を浴び 最終的には 豊田社長まで 謝罪会見を開かなくてはならない事態となり 収束 させるために多大な 努力を しなければならない事態となったのです

引き続きおこったリコールでアクセルペダルの不具合は 一体 なぜ起こったのか部品の構造的な問題や自動車業界を取り巻く企業の合理化 などについても問題があるのではと 見てきました

そうしてるなかで さらに プリウスのブレーキの不具合が 多発すると言う事象も述べてきました

このブレーキの不具合についても ハイブリッド車が抱える構造的な 問題や 電子機器の複雑な 制御の難しさを 色々な角度から見て来ました

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不具合連鎖「プリウス」リコールからの警鐘 読書レビュー後編 

後編では三菱ふそう自動車のリコール案件にも触れていきます

三菱自動車のトレーラートラックのタイヤが外れ母子3人が死傷し世間に大きな衝撃を与えたこの事故はリコールを隠していた事が後にわかり自動車会社のリコールに対する隠蔽体質も問題視され関係者が逮捕されると言う刑事責任を負う羽目にもなった出来事でした

このようなことも記事に盛り込みいったいリコールはなぜなくならないのか また 自動車メーカーはリコールとどう向き合ってきたのか そして 有識者たちはこのリコール問題をどのようにみているのか 本書の第4章から第6章 についての読書レビュー 後編 をまとめて解説します

まずは本書の目次を改めて記載しておきます

  • 第1章~それは一本の電話から始まった
  • 第2章~ アクセルペダルの不具合はなぜ起こったのか
  • 第3章~ブレーキの不具合はなぜ起こったのか
  • 第4章 ~リコールはなぜなくならないのか
  • 第5章 ~自動車メーカーはリコールとどう向き合ってきたのか
  • 第6章~有識者は これらのリコール問題を どのように受け止めているのか

では後編も読み進めて解説していきましょう

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第4章~リコールはなぜなくならないのか

技術的な進歩は進んでいるはずなのに 国土交通省に届けられる リコール対象台数は年々 増える傾向にある

その最も大きな原因となるのが 自動車メーカー がコスト 削減のために 進めてきた 部品の 共通化 が原因であると 報告されています

たったひとつの部品で

たったひとつの 小さな部品によって 多くの車の リコール対応 をしなければならないのです

リコール問題と言うのは金銭的な問題も大きいのですがそれ以上に お客様からの信頼を失って社会的信用 さえもなくしてしまうことになるのです

部品とプラットホームの共通化の弊害

※プラットホームの共通化とは車体(フレーム)の基本設計を共通化することです、要するにエンジンや変速機、サスペンションなどのユニットごとのアッセンブリー部品を共通化できるように車体の基本骨格を同じ形にした上で外見だけはデザインを変えて別の車種として販売すると言う方法です

部品の共通化やプラットホームの共通化による弊害としてリコール台数が増え続けた事は前記したのですがリコール件数も若干は伸びてはいますがリコール台数の増え方と比較すると さほど多い件数 とは言えない

リコール件数が増えている件に関しては2000年夏に発覚した三菱自動車のリコール隠しハブボルトの不具合によるタイヤ脱落の事件が大きく影響しています

この事件を受けて車メーカー各社は小さな不具合でも国土交通省にリコールとして届け出るようになった事もリコール件数が増えた理由の1つに考えられています

自動車産業が直面する3つの大変化

車のリコールは今後も増えていくのではないかと言う悲観的な見方がされています、その理由は3つある

  • 1~「市場シフト」
    • 車の需要が新興国であるインドや東南アジアにうつるとともに車の生産や部品も知識や技術が乏しい新興国に移る為
  • 2~「電動化」
    • 車の動力源が内燃機関である燃焼エンジンから電動モーターに変わっていく中でモーターの耐久性や電動化による車の構造的な問題も新たなリコールにつながる可能性が出てくるため
  • 3~「電子化」
    • ワイヤーやロットを使った機械式伝達装置からコンピューターを中心に配線を介して電気で制御する方式に変わっていくことにより自然環境に対応できるかの問題またはコンピューターと言うプログラムを組むにあたっての人為的ミスとユーザ感覚と開発段階での格差の問題

経済のグローバル化とともに車業界も上記のように大変革が進んでいるこのような中で世界の車メーカーはリコールをなくすためにどのような努力をしているのか少し見ていきましょう

欧州から始まったソフトウェアの共通化

車が電動化・電子化されるにつれ多くのコンピューターが使用されるようになり車に取り付けられた多くの計器や部品・センサーを制御するための膨大なプログラムを開発するために各メーカーは多くの時間を使うことになりコスト増大にもつながっていました

私たちが一般に使っているパソコンにはOSとしてWindowsがあるがそのOS上で 文書作成 ソフトの「ワード」や表計算ソフトの「Excel」を使用して文章や表を作成している

同じワードやExcelで書かれた文章や表であれば同じOSで同じソフトを使っていればWindowsパソコン上で誰でも読んだり書いたりつけたしたりすることができる

そのような共通のOSやソフトが車業界の電動化・電子化を行ってきた際には利用されてこなかったのです、このことが車の開発においても多大な経費がかかりコスト削減ができないと同時にプログラムを組む際のミスなどにより新車販売後のリコールにもつながっていたのです

このことから欧州ではOSやソフトウェアの共通化が進められています日本においてもトヨタ自動車と日産自動車そして本田などによる標準化団体「ジャスパー」が2004年に発足し標準ソフトウェアが2010年に開発され実用化が進んでいる

その一つが現在広く知られている「OBD2」を使用したコンピューター診断やプログラムの書き換えです

元整備管理者としての意見

いくらコンピューターのプログラム入力が進化したとは言え私たち車のユーザが日常的に車を運転して

  • 気がついたこと
  • 違和感を感じたこと
  • 危険を感じたこと

などは常にフィードバックしてディラーや国交省の相談窓口なども利用して教えてあげる必要があります

今までもそうしてきたとは思いますがそのことが大きな事故や大規模リコールを起こさないための最も重要なリコール防止対策の方法でもあると元整備管理者として思うところです

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第5章~自動車メーカーはリコールとどう向き合ってきたかのか

第4章のまとめの終わりの部分で第5章の見出しに関して話はしてきましたがもう少し付け加えて解説していきたいと思います

空飛ぶタイヤ

プリウスとは関係のないリコール案件なのですが日本国民に大きな衝撃を与え、なくなられた方も出た神奈川県横浜市で2002年に起きた母子3人死傷事故です

この事故は大型トレーラートラックのタイヤがタイヤが取り付けられているハブ(デフからリアシャフトを介してタイヤにつながる部品)ごと外れて歩道を歩行中の母子3人を直撃し母親がなくなったと言う事件です

メーカーは当初は整備不良による事故であって三菱ふそう自動車には関係がないと訴えていたのだが調査の結果タイヤホイールと一緒にブレーキドラムも外れていたことが判明し通常ではありえない整備不良と言うことで詳しい原因調査が続行された結果、従来のハブの厚さよりも薄く設計されていて構造的に耐久性にも劣ると言うことがわかったのです

この事件に関して三菱ふそう自動車は資料なども隠蔽していたことがわかり社長を始めとして数人が逮捕されるなどの刑事責任をおうことになり社会的にももう三菱の車には乗れないと評価されたのでした

この事件は映画化され「空飛ぶタイヤ」として2018年に上映されました

当時、三菱のリコール隠しを報じた新聞

三菱=欠陥隠し 追認の=国交省/タイヤ脱落事故/直後から欠陥指摘した「赤旗」報道

信頼を失った三菱ふそう自動車のその後の対策

刑事責任とお客様からの信頼を失い販売台数も減少し経営危機に陥った三菱ふそう自動車は、同じ三菱グループである三菱重工や三菱商事・三菱東京UFJ銀行〈現:三菱UFJ銀行〉などからの融資で何とか会社を持ちこたえた

三菱は今後二度とこのようなリコール隠しやリコールを起こさないために全社を上げて防止策に取り組んだ、その具体的な取り組みというのが以下である

  • 新品質情報(SQMシステムの導入)
    • 市場での修理情報をいち早くフィードバックして顧客への対応を敏速化するとともに製品品質の維持改善を図っていくこと

要するにお客様ユーザを粗末にすることなくどんな小さな車に関する苦情や修理に対しても敏速にディラーや修理工場を介してメーカーに届くようにし、またメーカーの方としても集まった情報を隠すことなくディラーや整備工場に情報提供するようにしたと言うことです

私も元整備管理者として言わせていただければ上記したこのことが最も基本的な車の修理や故障リコールを見逃さないための対処方法なのです

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第6章〜識者10人はリコール問題をこうみる

第6章では 東京大学[ものづくり 経営研究センター]センター長の藤本隆宏さんをはじめとして 車業界に 多方面から 携わってきた 有識者たちから なぜリコールはなくならないのか リコールをなくすためには どうしたらよいのか 意見を伺っています

その中の一人、明治大学 理工学部情報科学科教授の向殿政男氏の おっしゃってることが一番 腑に落ちて 納得が行きます

ユーザー目線で安全を考察せよ

向殿氏が言うには 車の 開発や製造段階において いくらメーカーの技術陣や管理体制がしっかりしていても 車が出来上がって 販売され 最終的に その車を 運転して使用するのはユーザーであると ならば リコールを解決するためには ユーザーも巻き込め という事です

リコール撲滅の為のわたしの見解

どういうことかと言うと いくら電動化電子化されてきてるとはいえ 最終的な 安全確保は ドライバーによるところが大きい

ならばトヨタに限らず自動車メーカーはユーザーを自動車の安全を担保する仲間であるという認識を持ち ユーザーをも取り込みながら リコール撲滅 のために 安全確保 を行っていくという 決意が 必要なのではないかと言うことです

クルマのユーザーに対して 秘密主義·隠蔽主義を行うのではなく 常日頃から 車の 様子伺いをし 苦情もありがたいと受け止め メーカーの研究開発部門から 製造·販売部門を経て最終的な車の使用者であるユーザーまで 一体となり 車の安全を 確保することが大切 だということです

ユーザーを信じろ

車は安い買い物ではない 1台の車を買う ために 色々調べ 自分に最も合った自分が最も気に入った 車を ユーザーは 購入する それはそれは 愛着をもって 大切に 車を 利用するユーザーが 一般的では無いでしょうか

そのようなユーザーは 車の車種だけではなくその車のメーカー にも愛着が湧くのが一般的ではないでしょうか

そのように思ってる ユーザーを クルマメーカーは絶対に裏切ってはならない

日本国民は本当に優しい 何かメーカーで不具合があって サービスキャンペーンや 延長保証があって も積極的に 協力して くれる

今後は クレームやリコールが発生した場合には できるだけ早く ユーザーに連絡をとり 修理の協力の 依頼を お願い することである

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まとめ

プリウスのリコール問題から 車業界のリコールに関する考え方、対応の仕方までいろいろな方面から 紐解いてみてきました

そして最終的にリコールを なくすための 最も最善の方法は 車を運転する 最終責任者であるユーザー からの 情報をもっと細かく頻繁に そして 真剣に 吸い上げることが 非常に大事ではないかと 私は思います

最後までお読みいただきありがとうございます

また別の記事でお会いしましょう

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