車の整備業界に40年近く携わってきた元整備管理者が車のオーバーヒートについて車のメンテナンスに詳しくない方にもわかりやすく解説します!
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✨徹底解説!
車のオーバーヒートについて
暑い時期の車のトラブルとして多発するのがオーバーヒートです!
車の故障にはいろいろありますがその中でオーバーヒートは車両火災に次いでとても重大な車のトラブルで対応を間違うと事故や怪我・最悪の場合!命にも関わる事態にもなります
ここでしっかりと勉強して突然のオーバーヒートに対しても適切に対応できるようにしましょう
- そもそも車のオーバーヒートって何?
- オーバーヒートしているかどうかの確認方法は?
- 車がオーバーヒートしたらどうする?対処法
- なぜ?車がオーバーヒートするの原因は?
- 車のオーバーヒートの修理金額はいくら?
- オーバーヒート防止のための日常点検箇所は?
それでは車のオーバーヒートについてYahoo!知恵袋などで特に多く書き込みされている上記した6つの質問について車のメンテナンスや構造に詳しくない方にもわかりやすく解説していきたいと思います
どうぞよろしくお願いいたします
✨徹底解説!車のオーバーヒートについて
1〜そもそも車のオーバーヒートって何?
そもそも車のオーバーヒートって何?
ガソリンエンジン車・ジーゼル車やハイブリット車・LPG車は燃料を空気と混合させてエンジンのシリンダー内で燃焼させて動力を発生させて走るためにエンジンの内部外部ともに高温になります
そのため車のエンジンはエンジン始動中や走行中に非常に高温になるエンジンを冷やすために冷却水や空気などでエンジン内部やエンジンの外部を冷却するためのいろいろな部品や装置が取り付けられています
その冷却装置や部品が何らかの異常や故障で正常に働かなくなるとエンジンが非常に高温になり各部に不具合が発生しエンジンが不調になって走行できなくなったり最悪の場合車両火災にもつながります
このようにエンジンの冷却システムに異常が発生しエンジンを冷却することができなくなった場合や状態のことを「オーバーヒート」といいます
2〜オーバーヒートしているかどうかの確認方法は?
*🚨点検確認作業に当たって🚨
オーバーヒートの点検・確認をするためにボンネットを開けてエンジンルーム内を見る場合は
水温計や水温警告等を確認しながら
必ず!エンジンが十分に冷えている状態で確認すること
!
オーバーヒートしているかどうかの確認方法は?
車がオーバーヒートしそうな時またはオーバーヒートしてしまったときに車にどのような症状や現象が起こるのかここで詳しく解説します
エンジンが高温になりオーバーヒートを起こすと大きく4つの症状が現れます
- ⑴メーター内の水温計が「H=Hotホット」ラインまで上昇する
- メーター内の水温計が「H=Hotホット」ラインまで上昇 する
- 水温計がついていない車は通常は青色ランプが点灯しているのですが水温異常を示す赤ランプが点灯する
- また多くの車でエンジン警告灯が点灯する
- ⑵エンジンからの異音や異臭などで確認する
- エンジンから「カラン!カラン!」などの異常音が聞こえる
- エンジンルーム内から甘い匂いの異臭がすることがある
- ⑶走行中の場合はエンストすることもある
- 走行中の場合はアクセルを踏んでもスピードが上がらないことがある
- エンジンの回転が不安定になったりし最悪の場合はエンストする
- ⑷ボンネットの隙間から白煙が上がる
- オーバーヒートの症状が進行しているとボンネットの隙間から白煙が噴き出す
- マフラーから白い煙が出ることがある
- 車のエンジンから冷却水が漏れ地面が濡れる
- (*走行中の場合にはただちに車を安全な場所に止めて下さい)
⑴メーター内の水温計が「H=Hotホット」ラインまで上昇する
車がオーバーヒートしているかどうか判断する中で最もポピュラーな判断方法が車のメーター内に取り付けられている水温計を確認することです
水温計は通常「C」と「H」の文字が書かれているメーターで「C=Coldコールド」「H=Hotホット」の意味です
このメーターに針が付いていて通常針の位置は「C」と「H」の真ん中あたりを指しています
車がオーバーヒートするとこの針が上昇しレッドライン「H=Hotホット」を指したりオーバーヒートが進行してしまっている場合はレッドラインを振り切ってしまう場合もあります
水温計がついていない車は水温警告灯が赤く点灯したり車によってはチェックランプ(エンジン警告灯)が点灯したりします
このように水温計の針が「H=Hotホット」ラインや「H=Hotホット」ラインを振り切っていたり水温計がついていない車の場合は赤い水温計警告灯が点灯/点滅したりエンジン警告灯が点灯した場合オーバーヒートの可能性が高いと思われます
⑵エンジンからの異音や異臭などで確認する
水温計の上昇や水温警告灯の点灯に気がつかずに車を走らせたりエンジンをかけたままの状態にしておくとエンジン内から「カラン!カラン!」「カン!カン!」などの普段は聞き慣れない音がエンジンルーム内から聞こえてきます
*🚨点検確認作業に当たって🚨
オーバーヒートの点検・確認をするためにボンネットを開けてエンジンルーム内を見る場合は
水温計や水温警告等を確認しながら
必ず!エンジンが十分に冷えている状態で確認すること
!
音で確認
これはエンジンが高温の状態となりシリンダーヘッドガスケットやピストンリング等のエンジン内の部品が損傷し圧縮漏れを起こしている可能性がある音です
長く使っている車や1度オーバーヒートを起こした車で急な坂道などを上る時にアクセルペダルを深く踏んだときに「カラン!カラン!」「カン!カン!」と言うような音がエンジンルームから聞こえることがあります
これもシリンダー内で燃料が燃焼したときに何らかの原因で圧縮が上がらずエンジン内の部品に負荷がかかり異音が発生している現象でオーバーヒート時と同じ症状です
1度オーバーヒートを起こすと症状が軽かった場合でも後でこのようなエンジン出力が通常の状態よりも上がらないトラブルや現象が発生することがあります
色で確認
またラジエーター冷却水(LLC=ロングライフクーラント)には冷却系統内で液漏れ等が発生した場合に目視で判断できるように赤やピンク・青などの色が着色されどこから冷却水が漏れているか点検する際にわかりやすいようになっています
テスターで確認
ただしこの冷却水がシリンダーヘッドガスケットの損傷等によりシリンダー内に漏れて燃料と一緒に燃焼すると 漏れている箇所が判定できない場合があります
そのような場合はエンジン冷却系統に圧縮漏れがないかラジエーターテスターでエンジンを冷却する配管やパイプなどの冷却系に圧力をかけて漏れている箇所がないか点検する方法もあります
臭いで確認
またラジエーター冷却水には甘い匂いを付着させている場合もあり漏れが発生した場合にエンジンルーム内や排気ガスから甘い異臭を発生させることもあります
オーバーヒートによりエンジンオイルも高温になり蒸発して天ぷら油が焦げたような油臭い異臭を発生させる場合もあります
⑶走行中の場合はエンストすることもある
高速道路等を走行中にオーバーヒートが発生するとアクセルの反応が鈍くなりアクセルペダルを深く踏んでもスピードが上がらずエンジンの回転が不安定になり最悪の場合エンストを起こす可能性もあります
このような場合には周りの状況を確認し緩やかに車のスピードを落として高速道路の左側の安全帯に車を止めます
「JAF」要請と一般のロードサービスとの決定的な違い
水温計が上昇していたり水温警告灯が点灯していたりしてしばらくしても状況が改善されない場合などは「JAF」等のロードサービスの救援を要請しましょう
「JAF」のロードサービスと一般の自動車保険等に添付されているロードサービスには決定的な違いがあります
一般の自動車保険に添付されているロードサービスは登録した車に保険が適用されるものですが「JAF」の会員になると登録された会員に保険が適用されるのです…続きは以下をご覧ください
⑷ボンネットの隙間から白煙が上がる
冷却水でエンジンを冷やすことができず水温計の上昇や水温警告灯の点灯にも気ずかずにそのまま走行し続けるとオーバーヒートが進行し最悪の事態に陥ることがあります
エンジンが高温になると冷却系統のホースや配管の隙間やラジエーター・ラジエーターホースなどが破裂し熱湯が漏れ出してボンネットの隙間などから蒸発した熱湯が白煙となり吹き出てくることがあります
このような場合には絶対にボンネットを開けないでください
吹き出した熱湯は非常に高温で危険なので絶対に近づかないでください
3〜車がオーバーヒートしたらどうする?対処法
オーバーヒートの点検・確認をするためにボンネットを開けてエンジンルーム内を見る場合は
水温計や水温警告等を確認しながら
必ず!エンジンが十分に冷えている状態で確認すること
!
車がオーバーヒートしたらどうする?対処法
このようにオーバーヒートはエンジンを冷却する装置や冷却システムに何らかの不具合が発生したりエンジンオイルの不足や劣化などでも起こることがあります
今回は車のオーバーヒートの原因として特に多い冷却水の漏れ等を説明していますがその他の原因についても後ほど解説します
オーバーヒートが発生したら落ち着いて行動する
車がオーバーヒートを起こしてもメーター等の確認や周囲の歩行者や他の車等の安全を確認し二次的被害が発生しないように落ち着いて行動することが大切です
①道路を走行中にオーバーヒートが発生した場合
一般的に走行中は冷却水とともに走行風でもエンジンが冷やされているためオーバーヒートを起こしにくいのですが道路が渋滞などをしてノロノロ運転で走行している場合などはエンジンの冷却装置が十分に機能を果たせずオーバーヒートを起こしやすくなります
特に夏場の灼熱の高速道路上の渋滞でエアコンなどを使用してエンジンルーム内が高温になっている場合などに多く発生します
万が一オーバーヒートを起こした場合は
- 一般道を走行している場合
- 一般道を走行している場合などは落ち着いて周りの状況を確認し歩行者や他の車に危険を及ぼさないように車を路側帯や安全な場所に停車させます
- 高速道路の追い越し車線を走行している場合
- 高速道路の追い越し車線を走行している場合は周りの車の状況を確認しながら追い越し車線から走行車線/安全帯や退避場所へと徐々にスピードを落としていき車を停車させハザードランプを点灯させます
*後方を確認し安全が確保できるようであれば車の後方に三角停止表示板を設置してください
車を駐車させてしばらく様子を見て水温計等が下がらない場合やエンジンルームから白煙が出ている場合などは速やかにエンジンを停止させてください
その場合は危険なので絶対にボンネットを開けないでください!
白煙が出ていなくてもボンネットを開けたとたんにホースやラジエター本体が破裂し熱湯が噴出し沸騰している高温の蒸気で手や顔などに大やけどを負おうことがあります
②エンジンがかかっている(アイドリング状態)駐停車中にオーバーヒートが発生した場合
- 信号待ちの場合
- 信号待ちの場合にオーバーヒートが発生した時は信号が変わると同時に周りの歩行者や他の車の安全を確認し前方の路側帯や安全帯に車を停車させエンジンを停止させます
- アイドリング状態の場合
- アイドリング状態で駐停車中に車がオーバーヒートした場合はすぐにエンジンを停止してください
基本的にオーバーヒートが発生した場合自走が困難な状況となります
無理に自走して修理工場までたどり着いて修理を行ったとしてもオーバーヒートが進行して多額の修理費がかかる場合が多々あります
またその時点では異常が感じられなくて冷却水漏れ等を修理して普通に走行できたとしても後でエンジンの馬力が出ないなどや急な坂道を登るときに「カラカラ」音が出るなどの後遺症等が出てきます
以上のような状況を考えると無理な自走はしない方が良いと考えられるので速かにJAFなどのロードサービスの救援要請を行ったほうが良いでしょう
4〜車がオーバーヒートする原因は?
車がオーバーヒートする原因は?
車がオーバーヒートする原因には多くの要因があります
冷却水の不足はもちろん!以下にあげた部品の不具合や不良のほかに
- 大量の荷物を積んで長距離走行する過酷な運転
- 山道や坂道などの長時間運転
- 真夏の高速道路等の渋滞での長時間のノロノロ運転
などもオーバーヒートに結びつく要因です
以下にあげたオーバーヒートの原因となる症状は私が60台の営業車の整備管理者として従事していた頃に経験したオーバーヒートの実例や日常点検や定期点検の際にオーバーヒートに起因する不具合を発見し未然に防いだごく1部の例です
オーバーヒートの要因となる16の不具合と要点検箇所
- ①エンジンからの冷却水の漏れ
- ②ラジエター本体からの冷却水漏れ
- ③ラジエーターホース劣化による冷却水漏れ
- ④ヒーターヒーターホースの劣化による冷却水漏れ
- ⑤ラジエーターキャップの不良
- ⑥ラジエーターファンモーターの不良
- ⑦ラジエーターカップリングファンの不良
- ⑧ウォーターポンプの不良
- ⑨サーモスタットの故障
- ⑩ラジエーターコア内部の詰まり
- ⑪ラジエーターコア外部の目詰まり
- ⑫ヒーターコックからの冷却水漏れ
- ⑬ヒーターコアからの冷却水漏れ
- ⑭加圧式リザーバータンクの不具合
- ⑮エンジンオイルの不足または劣化
- ⑯低速高回転での長時間の走行
以上のような要因がオーバーヒートを起こす原因となります
オーバーヒートを起こす要因となる不具合や故障を一つ一つ丁寧に解説してみましょう
①エンジンからの冷却水の漏れ
エンジンからの冷却水漏れとはシリンダーヘッドガスケットの劣化により冷却水が漏れ出てエンジンの外やエンジンのシリンダー内に洩れ出てくる状態です
エンジンの外に漏れ出ている場合は色や匂いで確認できるのですがシリンダー内に漏れて混合気と一緒に燃焼してマフラーから出ている場合は確認取るのが難しくなります
その場合は加圧テスターなどを使い点検・確認してオーバーヒートかどうか判定します
その他水温センサーの取り付け部等からの冷却水漏れも発生することがあります
②ラジエター本体からの冷却水漏れ
ラジエター本体の上部のアッパータンクやラジエター本体とエンジンを結ぶアッパーホースの取り付け分から冷却水が漏れることがあります
ラジエター本体の構造は上下に冷却水を貯めておくタンクと真ん中に薄っぺらいアルミでできた板状の中を冷却水が通りファンや走行中の風で冷やす構造になっています
ラジエーター本体の上下のタンクはプラスチック樹脂でできており特に上部に取り付けられているアッパータンクはエンジンから戻ってきた高温高圧の冷却水により永年劣化が進み衝撃等にも弱くなり長年使っているとラジエター内の圧力が高くなったときにアッパータンクに亀裂が入り突然!破裂してタンク内の熱湯を吹き出す場合があります
このような場合にボンネットの隙間から白煙が上がりオーバーヒートが発生したことがわかります
ラジエーターのアッパータンクが劣化しているかどうかの見分け方はプラスチック樹脂でできているアッパータンクの色が新品に近い状態であれば濃い色をしているのですが劣化が進むと色焼けが進み白っぽい色になり硬化して劣化しているのがわかります
日常点検や定期点検の時にラジエーターのアッパータンクの劣化が進んでいた場合は交換しましょう
③ラジエーターホース損傷による冷却水漏れ
またラジエーターとエンジンを結ぶラジエーターアッパーホースもエンジンからの高温の冷却水が戻ってくるために長年使用していると劣化します
ラジエーターアッパーホースを点検する際にはラジエーターのホース取付部も劣化している場合があるので同時に点検されると良いでしょう
停車中や信号待ちのアイドリング中や走行中にラジエーターホースが破裂してオーバーヒートにならないためにも常日頃の日常点検や定期点検は確実に実施することが大切です
④ヒーターホースの劣化による冷却水漏れ
エンジンルーム内のエンジンと車内のヒーターコア(家庭用のセントラルヒーティングのような温水を流して室内を温める装置)を結んでエンジンで温められた温水を車内に取り込んで車の中を温めるためにゴム製のホースが使われています
これをヒーターホースといいます
このヒーターホースも高温の温水が流れる方のホースが劣化しやすくホースとパイプの接続部やホース本体から冷却水が漏れる場合があります
オーバーヒートをおこさないためにも日常点検でヒーターホースからの冷却水漏れがないかラジエターのリザーブタンクに冷却水が規定のレベルまで補充されているか確認することが大切です
ヒーターホースは奥の見えにくい場所に取り付けられている場合が多いので冷却水漏れの確認が難しい場合は車の下の地面に液漏れ等の痕跡がないか確認してみるのも良い方法です
⑤ラジエーターキャップの不良
ラジエターキャップも長年使用しているとラジエーターキャップのゴム部品の劣化や加圧弁や負圧弁の損傷などでラジエーター内の圧力を保持することができず冷却水が沸騰しリザーバータンク内に逆流しエンジンを冷却することができなくなりオーバーヒートを起こすことにつながります
⑥電動式ラジエーターファンの不良
冷却水を強制的に冷やすためのラジエターファンにはファンベルトで回転する方式とエンジントルクのロスを低減させるために採用された電気モーターで回転する方式の2つの方式があります
最近多く採用されて取り付けられている電動式のファンモーターの不具合について解説します
電動式ラジエーターファンと言う部品はラジエーターの後方に取り付けられています
エンジンを冷却して高温になった冷却水がラジエーター本体の薄い板状(コア)のアルミでできた放熱性の良いいくつもの帯状になった細い管(コア)を通過したときにラジエーターの前方(車の前方)から空気を吸い込み高温になった冷却水から熱を奪い強制的に冷やす役目をしています
このラジエーターファンはモーターで回転しておりこのモーターが不具合を起こしたり配線系統の断線やショートなどで作動しなくなった場合ラジエーターファンが回転しなくなります
日常点検の際はエンジン始動中で冷却水の温度が高温になったときに電動ファンが勢いよく正常に回転しているかも確認することがオーバーヒートを未然に防ぐためにも大切です
但し!日常点検や動作を確認する際には電動式のラジエーターファンは絶対に手で触ったりしないでください
コンピューターで制御されているので突然!回り出して大怪我をすることがあります
水温計が上昇していたり水温警告灯が点灯してエンジンが高温になっていても電動式ファンモーターが作動していない場合は細長い棒などでモーター本体を軽く叩いてみると弱々しく回転する場合があります
この場合は電動式ファンモーターの不具合によるオーバーヒートです
すぐに修理対応するようにしてください
電動ファンモーターの交換目安ですがお車の車種や使用状況によって大きく変わってきますが早いものではおおよそ3〜5万キロ走行すると不具合が発生する可能性が出てきます
日常で車を運転して気をつける点としてアイドリング中に水温計が上がり気味になってもエンジンルームからモーター音が聞こえないなどの場合は電動ファンモーターが作動してない場合があります
ご自身で判断がつきにくい場合は専門的な知識のある方や整備工場などで確認してもらいましょう
⑦ラジエーターカップリングファンの不良
ラジエーターカップリングファンとはエンジン内を循環してラジエーターに戻ってきた高温の冷却水を冷やすファンの種類の1つです
上記で記載したようにラジエーター内の冷却水を強制的に冷やす方法としてクランクシャフトの動力を利用しファンベルトでファンを回す方式と電動式のファンの2種類を紹介しました
ファンベルトでファンを回す方式はエンジンのクランクシャフトの回転を利用してファンベルトを回転させるためにトルクロスが起こり燃費も悪くなります
エンジントルクのロスを防止するためにエンジンが高回転になるとファンが空回りするように作られた構造のものがカップリングファンといいます
このカップリングファンがエンジンが低回転の時にも空回りするとオーバーヒートを起こすことがあります
このような不具合は滅多にないのであまりに気にされる事はないと思います
故障例の1つとしてご紹介させていただきました
⑧ウォーターポンプの不良
ウォーターポンプはエンジンのクランクシャフトからの動力をファンベルトを介して回転しエンジン内を通って高温になった冷却水を循環させてラジエーターに戻して冷却してまたエンジン内に送り出すためのポンプです
ウォーターポンプが不具合を起こしてオーバーヒートにつながる内容と言うものはウォーターポンプ本体から冷却水が漏れて冷却水が不足したりなくなったりしてエンジンを冷却することができなくなるためです
ウォーターポンプの不具合からオーバーヒートを起こさないための日常点検としてウォーターポンプ取り付け周辺の冷却水の漏れの確認やウォーターポンプに取り付けられているラジエーターファンを軽く動かしてみてウォーターポンプ軸にガタがないかなどを点検します
*点検時はエンジンを必ず止めて行うこと
またアイドリング回転中にエンジンから「ガラガラ音やカラカラ音」などがしていないか車の下の地面に冷却水等が漏れた痕跡がないかなども点検します
ウォーターポンプの寿命も車種や使用状況により変わってきますがおおむね5万キロを超えると不具合を発生させる車種が増えてきます
⑨サーモスタットの故障
サーモスタットはエンジン冷却系統の部品の1つでエンジンがまだ温まっていない時は開閉弁を閉じてエンジンが温まっていくと同時に徐々に開閉弁が開いて冷却水が循環してエンジンを冷却する役目をします
またサーモスタットが取り付けられているエンジンブロックのパッキンが劣化して冷却水が漏れてエンジン内を循環することができなくなるとオーバーヒートの原因になります
始業前点検や日常点検時には水温計や水温警告灯のほかにエンジンルーム内から冷却水の漏れがないかエンジン下の地面が冷却水が漏れて濡れていないかを確認します
*基本的にサーモスタットが不具合を起こす場合は開閉弁が開きっぱなしになりオーバーヒートとは反対にエンジンが冷えすぎるオーバークールと言うような状態になります
*特に冬場にオーバークールになると燃費の悪化や走行中のエンジン不調につながります
⑩ラジエーターコア内部の詰まり
エンジンから戻ってきた冷却水を冷やす働きをするラジエターは大きく3つの構成部品に分けられます
- エンジンから戻ってきた高温の冷却水を一時的にためておくアッパータンク
- 高温の冷却水を放熱性の良いアルミ製できた縦に何本も連なった薄いアルミ箔が何枚も付いている平たく細い配管の中を通して高温の冷却水を冷やすためのラジエーターコア(ラジエターフィン)部分
- 冷却された冷却水を一時的に貯めてエンジンに送り出すロアータンク
上記の2番目のエンジンから戻ってきた高温の冷却水を冷却する部分の
ラジエーターコアの内部に異物が混入したり冷却水のメンテナンスを怠ったりして目詰まりを起こすと冷却水を冷やすことができずオーバーヒートにつながります
またラジエーターコアの内部が腐食して配管に穴が開いて冷却水漏れを起こしてエンジンを冷却することができなくなった場合もオーバーヒートを起こす危険があります
点検の際にはラジエーター周辺に冷却水漏れの痕跡がないか点検すると同時に車の下に水漏れ等の跡がないかを確認します
⑪ラジエーターコア外部の目詰まり原因
ラジエーターコアはラジエーターの後方に取り付けられている電動ファンなどにより車の前方から空気を取り入れてラジエーターコアを通過させることによりエンジンから戻ってきた高温の冷却水を冷却しラジエーター下のロアータンクへ流します
ラジエターコアは平たい細い配管が縦に密集していてさらにそれらの間を何枚もの薄いアルミフィンでつながれており非常に密集していて細い隙間を通って風が通過します
*画像右下拡大図参照
そのことにより効率よく高温の冷却水を冷却させることができます
このような構造のためラジエーターコアの外側にはほこりやゴミなどが付着しやすく走行キロ数の多い車や山間部や田舎などの舗装されていない環境の道路等で長年使用した場合ラジエーターコアの部分にほこりや草などの異物が蓄積してしまうことがあります
ゴミやほこり異物などが溜まったラジエーターのコア部分は車の前方からラジエーター後方へ空気を通すことができずラジエーターコアの外側の細い通路が目詰まりしてしまうと冷却水を冷やすことができなくなってしまうためオーバーヒートにつながります
⑫ヒーターコックからの冷却水漏れ
ヒーターコックはエンジン内で温められた冷却水を車内に取り入れて暖房などに使用する際に開いたり閉じたりして冷却水通路の切替え箇所として取り付けられている部品です
ヒーターコックもエンジン内で高温高圧になった冷却水が通過する箇所で長年車を使用しているとプラスチック樹脂の部分の劣化が激しくなりヒーターホースの接続部分などから冷却水漏れを起こしやすくなります
このようにヒーターコックから冷却水漏れが発生して冷却水の量が不足するとオーバーヒートを起こす事態につながります
ヒーターコックはエンジンルームから車内に入っていく箇所のパネルに取り付けられている場合が多く走行キロ数の多い車や永年車は日常点検の時でも冷却水が漏れていないか確認してみて下さい
⑬ヒーターコアからの冷却水漏れ
ヒーターコアは車内に取り付けられた小さなラジエーターと考えていただければ分かりやすいと思います
エンジン内で温められた冷却水はヒーターホース・ヒーターパイプ・ヒーターコックなどを通って車内に取り入れられヒーターコア内に入り後方に取り付けられた送風機により前方から温風を吹き出し車内を温めたりデフロスターとして窓の曇りなどを取り除きます
このヒーターコアも冷却水のメンテナンスを怠ったり長年使用することによりコア内部の腐食や振動等での損傷で冷却水漏れを起こしてオーバーヒートにつながることがあります
ヒーターコアからの冷却水漏れは本当にまれに起こる故障で日ごろの冷却水の管理やメンテナンスをしっかりと行っていればトラブルに見舞われる事はないでしょう
*私がタクシーの整備管理者をしていた頃は営業車両60台(1台あたり80万キロ15年間使用)を管理していましたが1台もヒーターコアからの冷却水漏れはありませんでした
ただし冷却水を1度も交換したことがないとか事故車を長年使用すると言うような場合はヒーターコアからの冷却水漏れも起こる可能性があります
冷却水は2年に1度交換しているようであれば走行キロ数も年数も長く車を使用するような場合でもこのようなトラブルに見舞われる事はないでしょう
ヒーターコアの修理作業は非常に厄介で車種や修理内容によっては修理日数が2日以上修理金額も20万円以上と高額になるので日ごろからメンテナンスはしっかりと行いましょう
⑭加圧式リザーバータンクの不具合
加圧式リザーバータンクは近年採用されるようになった冷却システムの部品の1つです
従来であればラジエーター内の圧力が高圧になりラジエター本体に取り付けられているラジエーターキャップが規定圧力を超えた場合に圧力弁が開きホースを通って冷却水がリザーブタンクにたまりラジエーター内の圧力が低くなった場合にはリザーブタンクからラジエーター内に戻る役目をしていました
加圧式リザーバータンクは従来のラジエター本体に取り付けられたラジエーターキャップを廃止して直接冷却水リザーブタンクにラジエーターキャップを取り付けると言う方式です
これによりラジエーターの設置位置をリザーブタンクと離してエンジン内で自由に設置することができメンテナンス性にも優れた構造となります
ただしデメリットとしてリザーブタンクの構造と材質を変更して高温高圧に耐えられる構造にする必要があると同時に長年車を使用した場合にラジエーター本体と結ぶホースやリザーブタンクの劣化により冷却水漏れを起こす可能性も大きくなります
ホースや加圧式リザーブタンクの劣化により隙間や亀裂ができて冷却水が漏れるとエンジンを冷却することができなくなりオーバーヒートにつながります
またリザーブタンク自体も高温高圧の状態のためメンテナンスを行う時はエンジンが熱い場合など絶対にキャップなどを開けないように細心の注意が必要です
⑮エンジンオイルの不足または劣化
エンジンオイルはエンジン内部の部品の潤滑作用や密閉・洗浄作用だけではなく高温になったエンジンを冷却する役目も持っています
エンジンオイルが不足するとエンジン内の部品の潤滑を十分に行うことができず部品同士の焼き付きや干渉により抵抗が大きくなり高温になりやすくエンジンを冷却する能力も低下しオーバーヒートを起こす可能性が出てきます
エンジンオイルが劣化した状態でも上記のような症状が発生します
車のオーバーヒートを防止するためにも車の整備の基本中の基本でもあるエンジンオイルのメンテナンスはしっかりと行うことが大切です
⑯低速/高回転での長時間の走行
オーバーヒートの原因として最後に
- 高速道路などスピードを出して長時間運転するような場合でもオーバーヒートを起こす可能性があります
- また夏場の高速道路上での渋滞でノロノロ運転をした場合などもエンジンルーム内の温度が上昇しオーバーヒートを発生させる危険があります
- その他坂道や山道などを走行する際に低速ギアで長時間走行する場合でもオーバーヒートを起こす可能性があります
車のエンジンは万能ではありません
車を運転する際にエンジンを高負荷で長時間運転する場合はオーバーヒートを起こす可能性があると考えてエンジンをやさしくいたわるように走行しましょう
5〜車のオーバーヒートの修理金額は?
車のオーバーヒートの修理金額は?
車のオーバーヒートの修理金額は修理箇所や車種・車の使用状況により大幅に変わってきますがおおよその目安として記載しますのであくまでも参考程度に考えていただければと思います
- *私がディーラーでフロントマン業務を行っていた頃の修理金額です
- *部品と工賃込みでの概算修理金額です
- ①エンジン本体からの冷却水の漏れ
- センサーやスイッチの取り付け部分等からの冷却水漏れ〜数千円から10,000円前後
- エンジン本体ヘッドガスケット等からのオイル漏れ〜50,000円以上
- ②ラジエター本体からの冷却水漏れ
- ラジエーター修理の場合〜10,000円前後から
- ラジエター交換の場合〜30,000円前後から
- ③ラジエーターホース劣化による冷却水漏れ
- ラジエターホース交換で〜数千円から5000円前後
- ④ヒーターヒーターホースの劣化による冷却水漏れ
- ヒーターホース交換で〜数千円から5000円前
- ⑤ラジエーターキャップの不良
- ラジエーターキャップ交換で〜1000円前後から
- ⑥ラジエーターファンモーターの不良
- ラジエーターファンモーター交換で〜2万5000円前後から
- ファンモーター配線修理等で〜1000円前後から
- ⑦ラジエーターカップリングファンの不良
- カップリングユニット交換で〜1万5000円前後から
- ⑧ウォーターポンプの不良
- ウォーターポンプ交換で〜一万5000円前後から
- ウォーターポンプとタイミングベルト同時交換の場合は〜50,000円前後から
- ⑨サーモスタットの故障
- サーモスタット交換で8000円前後から
- ⑩ラジエーターコア内部の詰まり
- ラジエーター修理で〜一万5000円前後から
- ラジエーター交換で〜30,000円前後かな
- ⑪ラジエーターコア外部の目詰まり原因
- ラジエーターコア清掃で~3000円前後から
- ラジエーター交換で~30,000円前後かな
- ⑫ヒーターコックからの冷却水漏れ
- ヒーターコック交換で〜5000円前後から
- ⑬ヒーターコアからの冷却水漏れ
- ヒーターコア取り付けホース交換修理で〜5000円前後から
- ヒーターコア交換・修理で〜50,000円以上
- ⑭加圧式リザーバータンクの不具合
- 関連ホース交換で〜数千円から
- リザーバータンクキャップ交換で〜数千円前後から
- 加圧式リザーバータンクアッセンブリー交換で〜10,000円前後から
- ⑮エンジンオイルの不足または劣化
- エンジンオイル交換〜数千円前後から
- エンジンオイル漏れ修理〜数千円から数万円
- ⑯低速高回転・高速高回転での長時間の走行
- エンジンも万能ではありません!子供や障害者・老人や女性をいたわるような気持ちで車に接しましょう
*なおオーバーヒートが進行しシリンダーヘッドガスケット交換やエンジンオーバーホール・エンジンアッセンブリー交換などになると100,000円以上の修理金額がかかります
6〜オーバーヒート防止の為の日常点検箇所は?
オーバーヒート防止の為の日常点検箇所は?
オーバーヒート防止するためにも日常点検や定期点検は必要です
車のオーバーヒートを防止するための基本的な点検箇所として
- エンジンオイルの量と汚れ具合
- ファンベルトの張り具合と劣化状態
- 冷却水の量と汚れ具合
などがあります
オーバーヒートも日常点検を行うことによってトラブルを予防することができます
本文内でもそれぞれ個別に点検箇所や点検方法を紹介してきましたが以下のページに車の初心者でもわかりやすく日常点検について詳しく解説しているページを紹介しますので参考にされてください
特に長距離ドライブや行楽など車で旅行に出かける際には事前に点検を行いオーバーヒート防止に心がけましょう
また車のメンテナンスの知識があまりない方は信頼できる最寄りの修理工場を見つけ点検をお願いしてみましょう
それではまた別の記事でお会いしましょう