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貴方のクルマは大丈夫?車両火災「エンジンルーム編」

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貴方のクルマは大丈夫?車両火災「エンジンルーム編」

車両火災と聞いて自分には関係ないと思われる方も多いと思います、クルマの事件・事故の中で最も怖い出来事…車両火災

今回はこの事について読者の皆さんと考えていきましょう

届出分だけで年間1,000台以上の車両火災

国土交通省への車両火災関連の届け出分だけでも、日本では年間1千件を超えるクルマの車両火災が発生していることをご存知ですか?

一般道や高速道路、又は駐車場に止めている時など走行条件や停車条件に関係なくあらゆる場面でいろいろな原因により車両火災が発生しています

今回はクルマの車両火災に付いて何故?車両火災が起こるのか事例を挙げてなにが原因で火災が起こるのか車両火災を予防するにはどんな事に注意しなければならないのか

国交省の車両火災に付いての届出の内容と元整備管理者として車両を管理してきた経験から車両火災を起こさない為の注意点などを解説します

また万が一にも車両火災が発生した場合などを考えた場合には初期消化用として小型消化器を設置して置いたりコンパクトタイプを高温にならないグローブボックスなどに設置しておく事も勧めます

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非常に多い「エンジン周り」からの車両火災

エンジンルーム内やその周辺は車両火災に起因する要素がたくさん有ります、燃料としてガソリンや軽油・ガス、またエンジンオイルやパワステオイルなどの油脂関係

全て引火性のあるもので気をつけなければいけないものです

バンパーやエンジンルーム内の部品も樹脂関係の燃え易いものも使用されています

日常点検を始め定期点検などの時などには燃料漏れがないか、油脂関係の漏れがないかを重点的に点検し不具合がある場合には速やかに修理しなくてはなりません

点検を怠ると故障はもちろんのこと最悪の場合、車両火災につながるからです

初回は「エンジン周り」からの発生状況を例に取り上げて発生時の走行距離数や出火原因・対策などについて解説します

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クルマの車両火災の事例と深掘り解説

実際に国土交通省に報告があった車両火災の事例を参考にクルマの車種や走行距離数・発生状況・発生原因などを見ていきましょう

そして事例ごとに何故、車両火災にまで及んでしまったのか元整備管理者の目線から深掘り解説をしていきます

①日産マーチ

蘇高速道路を走行中に突然、エンジン出力が落ちてエンジンルーム内から「ガラガラ」と異音がして車両前方から煙が上がって停車後に出火した

原因はピストンコンロッドが破断してエンジンブロックを突き破り空いた穴からエンジン内を循環していたエンジンオイルが漏れ出し高温の排気管などに付着して気化し引火したものとのことです

走行距離数は169,000キロで1日100キロを走行する車で、直近のオイル交換が1年3ヶ月前に行なわれただけでその後はメンテナンスはしていなかったとのこと

深掘り解説

1日100キロ走ると言うことは営業車として使用されていたのでしょう…自分の車ではないからクルマのメンテナンスに関しては甘くみていた部分があるのでしょう

営業車でないとしてもこのブログでも毎回、指摘していますがエンジンオイルの管理はクルマの点検の基本中の基本です

クルマの故障の原因は使用者に義務付けられているのは使用者自身が責任を持って始業点検をすることにより故障や事故を未然に防ぐ為に最も直接的で有効な方法だからです

エンジンオイルの管理については以下のページでも詳しく解説していますので参考にされてください

エンジンオイル 交換サイクル
  • 走行距離〜169000キロ
  • 発生状況〜高速道路を走行中、エンジン性能の低下と「ガラガラ」という異音がして、車両前方から発煙した。停車後、車両から出火した。
  • 発生原因〜調査の結果、エンジンのコンロッドベアリングが焼付いてコンロッドが折損し、エンジンブロックを突き破り、穴から噴出したエンジンオイルが高温の排気系部品に付着して出火したものと推定する。焼き付きの原因は、シビアコンディション(毎日約100km走行)の使用状況に対して、直近のオイル交換は1年3ヶ月前であることから、オイルメンテナンス不良により潤滑不良が発生したためと推定する。

②日産GT–R

走行開始後、5分ほどしてクルマの左前方から煙が発生して停車後にボンネットを開けると出火していた

出火場所は左ヘッドランプの裏側で後付けした社外デイライト装置が以上発熱して周りの部品を溶かし出火したものとみられる

深掘り解説

ヘッドライトをより明るくする為にバルブ(球)を純正品から社外品のHIDやLEDに交換される方も多いと思います

然し、粗悪品や取り付け方法などを間違うとこの様な車両火災に陥ることも珍しくありません

クルマの部品は樹脂関係で作られている部分も多く今回の件の様にヘッドライトの裏側もプラスチック樹脂などで作られています

カンデラ数の高いHIDやLEDに使われている部品は高温になりやすく取り付け方法を間違うと周りの部品を溶かしてしまう場合もあります

純正品から社外品のHIDやLEDに交換される際にはシッカリとしたメーカー品を選び取り付けに際して車両に適合しているかを確認して作業を行うことが大事です

  • 走行距離〜127200km
  • 発生状況〜走行開始から、約5分後、左前から発煙し、ボンネットフードを開けると火が出ていた。
  • 発生原因〜調査の結果、左側ヘッドランプの後部が部分焼損しており、焼損部位の配線に溶玉が認められたことから、何らかの原因で社外品のデイライトシステムが異常発熱したものと推定する。

③ホンダN-BOX Custom

駐車中に左側ヘッドライト下部から出火してフロントバンパーを焼損

原因は左側フォグランプのバルブの形状や規格が純正バルブと異なりその事からバルブがシッカリと取り付けられておらず走行中の振動により高温のバルブが脱落して

付近の樹脂部品に接触して発火しフロントバンパーまで燃え広がったものとみられる

深掘り解説

フォグランプのバルブの規格は沢山あります、似た様な規格のものも多くあり、更にワット数も数種類あります

その中で純正品から少しでも明るいワット数をとりつけたいと思うのもわからないわけではありません

然し、純正バルブの35Wのバルブに社外品のバルブ55Wなどを取り付けるとどうなるかと言うと…バルブが高温になりフォグランプ裏面の樹脂部を溶かし今回の様な車両火災にまでなってしまう場合もあります

また前記した様に似た様なバルブが沢山あり専門家でもよくよく確認しながら取り付けないと違うバルブを取り付けてしまう場合もあります

その結果今回の様に脱落して車両火災に結び付く事もあります、また適正なバルブでないと水漏れなどが起こり内部でショートして火災になる場合もあります

取り付ける際は車両にあったバルブなのかをよく見極め、ただ単に明るければ良いとか少しぐらい合わなくても良いとか思わずにシッカリと確認してから作業しましょう

  • 走行距離〜46400km
  • 発生状況〜駐車中、左側ヘッドライト下部から出火し、フロントバンパを焼損した。
  • 調査の結果、左側フォグランプのバルブのみ形状や規格が純正品と異なる社外品であり、バルブの取り付けが不十分だったため、走行中の振動によりハウジングから脱落し、高温のバルブがハウジングを加熱して発火に至ったものと推定する。

④ダイハツ ミラ

駐車場に駐車中にエンジンルーム内のバッテリー付近から出火

原因はバッテリー端子の締め付け不良により電流がリークして発熱し樹脂部品や配線を溶かし出火したもの

深掘り解説

バッテリー端子が緩んだだけでは出火に結びつくことはないのですが、後付けのアース線などと接触して配線の皮膜を溶かし他の部品などにも燃え移っていったのでしょう

バッテリー端子は走行していると振動などで緩んできます、日常点検の際にはバッテリーの両端子の緩みがないかの点検も確実に実施しましょう

また個人でバッテリー交換をされる際なども作業後は必ずバッテリーターミナルや取り付けステーに緩みがないかを点検してください

バッテリーは高温になると液が気化しますバッテリー端子が緩んでいてリークした場合気化したバッテリー液に引火して爆発する危険もあります

作業する際はそのことも頭に入れて行ってください

  • 走行距離〜不明km
  • 発生状況〜駐車場に駐車中、車両から発煙した。
  • 発生原因〜調査の結果、バッテリ端子の締付不良により、バッテリ端子部でのトラッキング現象(絶縁されているところが絶縁不良となって通電し、発熱すること)が発生して出火したものと推定する

⑤トヨタ bB

一般道を走行中にエンジンルーム内から出火して車両を全焼したと言う事例

原因はパワーステアリングオイルが漏れて高温になっている排気管などに付着して出火しまわりに燃え移り車両火災に陥ってしまったとのこと

深掘り解説

この事件の直接の原因はエンジン交換作業時のパワーステアリングホース脱着の際にホースを損傷させてしまいそのまま再使用した為に起きたものです

エンジン交換の重整備やラジエーター交換などの際には関連作業としてパワーステアリングホースなどの脱着作業も付随します

作業にあたっては樹脂部品やホース・ゴム部品は消耗品として同時に交換するのが基本です、それを怠ってこの様な整備をすると重大事故につながると言う事です

またゴム部品や樹脂部品に関しては脱着の際に必ずドライヤーなどで温めて材質を柔らかくしてから脱着作業をする事も頭に入れておいてください

やってはいけないこととして温める為にバーナーなどの火器は絶対に使ってはいけません、滲んでいるオイルに引火したりゴム部品やホース類を燃やす場合もあります

新人の整備士や経験の浅い整備士も燃料系統やオイル系統の修理の際には必ず上記のことを守って作業されてください

  • 走行距離〜不明km
  • 発生状況〜一般道路を走行中、エンジンルームから出火し、車両を全焼した。
  • 発生原因〜調査の結果、パワーステアリングホースが損傷し、漏れたパワーステアリングフルードが高温の排気系部品に付着したことにより出火したものと推定する。パワーステアリングホースが損傷した原因は、当該車両のエンジン交換作業直後の火災であったこと、及びパワーステアリングホースのカシメ部に外力による損傷が認められたことから、エンジン交換時の作業によるものと推定する。

⑥スバル サンバー トラック

草刈り後、刈った草の上を走行後、車両左後方より煙が出て停車後に出火した

原因は刈った草の上を走行した事により燃料供給系統の配管を傷つけ損傷させた事により燃料が漏れて排気管などの高温部に付着し発火したものとみられる

深掘り解説

スバルサンバーはリヤエンジンでエンジンとマフラー・排気管が一体となったつくりで燃料系統が損傷してガソリンが漏れると車両火災を起こし易い車種になります

更にエンジンを守るアンダーカバーも全体を覆う様な作りになっておらず枯れ草や枝などの上を走行すると直接、エンジンの関連部品などに接触する場合もあります

いずれにしてもクルマの下回りはエンジンやマフラーなど高温になる箇所や部品があります、むやみに枯れ草の上を走行したり駐停車したりしない様にしましょう

車高を低くしている車もありますが、クルマの最低地上高の規制があるのもこの様なことが起こらないための処置でもあります

  • 走行距離〜不明km
  • 発生状況〜畑の草刈り後、刈った草の上を走行していると車両左後方から発煙し、停車後出火した。
  • 発生原因〜調査の結果、草刈り作業で刈った草の上を走行したことで燃料配管等に損傷を与え、流出したガソリンに何らかの熱源で引火したものと推定する。

⑦スバル R2

走行中にボンネット左側から白煙が発生してしばらく走行して停車したところボンネット右側からも出火してエンジンルームと車内を焼失した

原因はエンジンシリンダーヘッドの2気筒目付近から継続的に漏れていたエンジンオイルが高温の排気管に付着して引火したものとみられる

深掘り解説

この事象についても常日頃からの日常点検や定期点検を行なって修理して入れば未然に防げた事案なのではないかと言えます

もしかしたらにじみ程度と思いそのまま放置していたのかもしれません

いずれにしてもエンジンルーム内は排気管などもあり触る事もできないくらいに高温になる箇所や部品もあります

その様なところにエンジンオイルが漏れて付着すると簡単に引火すると言う事も覚えておいてください

シリンダーヘッドが破損、又は劣化してオイルが漏れたと言うことは以前、オーバーヒートを起こしていた可能性もあります

エンジンオイルや冷却水の管理を常日頃シッカリと点検する事もこの様な車両火災を起こさない為にも重要な作業になります

  • 走行距離〜不明km
  • 発生状況〜走行中、ボンネット左側から白煙が発生したため、しばらく走行し停車したところ、ボンネット右側から出火し、エンジンルーム及び車室内を焼損した。
  • 発生原因〜調査の結果、エンジンのシリンダヘッドガスケットの2番気筒付近から継続的に漏れ出ていたエンジンオイルが、高温の排気管に付着して出火したものと推定する。エンジンオイルが漏れた原因については、特定に至らなかった

⑧トヨタ パッソ

一般道路を走行中にエンジンルームから白煙が上がり停車すると出火してエンジンルーム前部を焼損した

エンジンルーム内にあった何らかの可燃物が高温の排気系統に付着して出火したものとみられる

深掘り解説

よくエンジンルーム内を清掃した後、そのまま雑巾やウエスをエアクリーナーの隙間やエンジンルーム内に放置したままの車をたまに見かけます

整備管理者をしていた頃も乗務員の中には上記の様に雑巾などをエンジンルーム内に放置しているものがいて点検時に発見して注意喚起していました

エンジンルーム内の汚れ・オイルなどを拭いたウエスなどはとても引火しやすく絶対にエンジンルーム内には放置してはいけません

トランクなどにしまっておくのは面倒だと少しばかりの手間を省こうとして大きな事故や事件を引き起こしてしまいます

今すぐにやめましょう

車両火災とは関係ありませんがウエスなどをエアクリーナー付近に放置すると走行中にエアクリーナー内に吸い込んでエンジン不調を起こしたりする事もあります

ウエスや雑巾の放置は勿論、整備後の部品や工具の置き忘れにも充分に注意しましょう

  • 走行距離〜140100km
  • 発生状況〜一般道路を走行中、エンジンルームから発煙したため停車すると、出火してエンジンルーム前部を焼損した
  • 発生原因〜調査の結果、高温の排気系部品に何らかの可燃物が付着して出火したものと推定する

⑨スバル フォレスター

山道を走行中にボンネットから白煙が上がりメーターパネル内の警告灯が点灯したがそのまま目的地まで走行した

その後エンジンを止めて車両前方の下を見るプラスチックが溶けた様なものが落ちて火が見えた

原因はATFのラジエーターにつながるクーラーホースに亀裂が入っていてそこからオイルが漏れ出し高温の排気系統に付着して周りの樹脂部品を溶かし引火したものとみられる

深掘り解説

この事象に関しても過去のラジエーター交換の際に関連部品である、ATFのホースの脱着の際に適正な取り扱いをせずに作業を終了したのが原因です

ATFのホースなど劣化していると非常に固くなり取り外しに大変苦労します、前記した様に温めてから取り外すわけですが、明らかに劣化して再使用不能の場合には新品の部品と交換しなければなりません

それを怠るとこの様に更に大きな問題を起こすと言うことです、ホースやゴム部品の脱着に関しては劣化していなくて再使用される場合には出来るだけ温めて当該部品を傷つけない様に作業されてください

そして作業終了後には必ず完成検査を実施し試運転もすること、必要がある場合には適正な時期に再点検も実施することが必要です

  • 走行距離〜不明km
  • 発生状況〜山道を走行中、ボンネットからの白煙によりメータパネル内の警告灯が点滅したが、そのまま目的地まで走行した。エンジンを止めたところ、プラスチックの様な物がポタポタと落ちて火が見えた。
  • 調査の結果、ATF(自動変速機の作動油)クーラーホースに切れが生じたため、当該箇所から漏れ出たオイルが排気管の高温部にかかって発火し、周囲に延焼したものと推定する。ATFクーラーホースの損傷は、過去のラジエーター冷却液漏れの修理作業の際に損傷させた可能性が考えられる。
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まとめ

車両火災について今回はエンジンルームとその周辺からの出火状況や原因について見てきました

原因の多くはオイル漏れをそのまま放置していたり、作業後の確認を怠ったり、草や小枝の上を走り回るなど未然に防げる事象です

エンジンルーム内の排気系統は高温になりオイル漏れなどを放置すると付着したオイルが気化し簡単に発火します、少しでも異常がある場合には専門家に見てもらい適切な処置をしてからクルマを使用しましょう

車両火災にはこの他に「車内からの火災」「電気系統からの火災」「下回り・ブレーキ系統からの火災」とあらゆる所から車両火災の危険性があります

以降、追加記事を書いていきます

ではまた次回の記事でお会いしましょう

ブログ管理者〜そら