最新!クルマのリコール情報と解説「スバル インプレッサ、インプレッサ XV 」のエンジン制御系統の不具合について
スバル「インプレッサ、XV」のエンジン制御系統(イグニッションコイル)の不具合に付いて
株式会社 SUBARU(スバル自動車)は令和3年4月15日、自社販売車両の乗用車「インプレッサ」「インプレッサXV」の2車種、計13万7449台(16年10月~19年3月製造)の車両に対してリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た
国交省のリコール課の発表によると届出されたリコール内容は「エンジンの制御プログラムが不適切で回路がショートし、走行中にエンストする可能性がある」との事
不具合は現在、計178件、報告されており、昨年12月には福島県内で一般道を走行中のインプレッサXVがエンストし、後続車に追突されると言う事故が起きていた、けが人はいなかった模様
スバル自動車「インプレッサ並びにXVのリコール発表・届出」情報元
株式会社スバル[ホームページ]
エンジン制御系統の不具合は再リコールだった!
スバル自動車が令和3年4月15日に国土交通省に2件のリコールの届け出をしたと言う話は前回の記事で内容説明したよね、今回はもう一件のほうのリコールについて話していこうと思っています
はい!お願いします。前回は確か「スバルインプレッサXVとフォレスタ」の緩衝装置のリコールでしたよね。今回のリコールが出された車種は何ですか?
またインプレッサXVがリコールの対象になっているの?
「インプレッサXV」の全てでは無いけれど…2つのリコールの対象車両の車体番号の範囲を見てみると広い範囲で2件のリコールの対象になっているクルマが多いね。いつものようにリコール対象の車体番号の範囲の中には対象とならない車両もあるとの事だけれども…
ところで今回はどこが悪くてリコールの届出がされたんですか?
今回記事にした2つ目のリコールの内容は「エンジン系統の不具合で走行中に突然エンジンが止まり車が停止してしまう」と言う状態になるそうなんだよ
原因はシリンダー内の混合気に火花で引火させて燃焼させる役目をしているイグニッションコイルが断線してエンジンが止まって、そのために車が停止してしまうとのことです
- スバルの場合は水平対向エンジンなのでイグニッションコイルは画像のようにエンジンの左右に2個ずつ取り付けられています
- このイグニッションコイルに大電流が長期間にわたり流れたことにより内部回路が壊れシリンダー内の混合機に点火をすると言う働きができなくなったと言うことです
- イグニッションコイルが走行中に突然壊れることによりエンジンが止まり車も突然!停止してしまうと言うことです
イグニッションコイルがなぜ断線してしまったかと言うと…コイルに流す電流を制御しているエンジン系統のコンピューターの設定が不適切な為にイグニッションコイルに大電流が流れその事によりコイル内部が高温になり回路がショートしてヒューズ切れを起こしてエンジンが止まってしまうとのことです
エンジンが止まってしまうから車も止まってしまうと言うことか…普通に走行しているときに急に止まると後ろから追突される危険もあるね。今まで事故とかなかったのかなあ?
一番最初にも書いたけど福島で一般道を走行していた「インプレッサXV」が突然!車が停止して後方を走行していた車に追突された事故が一件あるんだって、あと不具合件数が178件も出てたそうでもう少し早めに対策ができなかったのかと思うけど…
「リコール届け出一覧」をよく見てみるとこのリコールに関しては令和元年10月17日付け届出番号「4577」で一度、リコールの届出をして居たとの事なんだけれども改善措置の内容が不十分だったため、再度届出したとの事です
元整備管理者としての解説と思う事
スバルのリコール対応が甘かったのでは?
元整備管理者として率直に意見を言わせていただくと今回のリコール案件に関しては、令和元年10月17日に届け出をしており、最初のリコールの改善処置がとても甘かったのではないかと感じます
どういうことかと言うと大電流を長期間にわたって被ったイグニッションコイルを交換せずにエンジン系統の制御プログラムだけを書き換えて対処した車両が多かったのではないかと考えています
今回、不具合症状が出た車両は合計で178台となっていますが…(リコール前の不具合としてはかなり多い台数ですリコール対応が遅れたと言われても致し方ない状態です)
国土交通省のホームページのスバルユーザからの掲示板を確認しているわけでは無いのですが…不具合症状が出てディーラーに修理に出したことによって寿命だと言われてイグニッションコイルを有償で交換した車も多いのではないかと推察します
イグニッションコイルは高温下で使用される部品
このイグニッションコイルと言う部品は高温下で使用される部品で車種や使用環境によりますが100,000キロを超えると不具合が発生しやすくなってきます
今回の不具合が走行キロ数何キロほどで発生したのか詳細なデータが私のところにないので判断はできないのですが、総走行キロ数100,000キロ以内で不具合が発生したのであればエンジン制御系統の設定ミスとは言えイグニッションコイル自体も素材や材質が悪かったのではないかと考えられます
一般的にイグニッションコイルはメンテナンス方法によっては概ね、走行キロ200,000キロまでは使用できるのではないかと考えています
営業車を修理していた頃もこのイグニッションコイルの不具合は当初、非常に多く発生して対応に苦慮しました
※それまでのクルマの点火系統と言うものは「レギュレーター・ディストリビューター・プラグコード」と言う流れでこの3つが1つになったものが「イグニッションコイル」と考えて良いと思います
エンジン制御時の大電流に関係なく非常に高温になる場所に取り付けられているためにコイル内の回路や配線が不具合を起こしイグニッションコイル自体が壊れてエンジン不調の原因になるのです
※イグニッションコイルは過酷な条件下でエンジンを動かすために使われています
イグニッションコイル内には一次コイルとニ次コイルが巻かれており一次コイルに電流を流すことによりニ次コイルに大電流が作られます
ニ次コイルの大電流がプラグに送られシリンダー内で混合機に点火してエンジンを動かします
下部(細い部分)の2/3がシリンダーヘッドカバー内に隠れてしまうのでかなりの高温になります
私が整備していた営業車は直列4気筒・V型8気筒(旧マジェスタ)のエンジンだったので2・3番と6・7番のイグニッションコイルが熱におかされ特に壊れやすくその対策として一年に1回の車検時にはプラグを交換しイグニッションコイルをローテーションさせて使用していました
この方法でイグニッションコイルを使用すると総走行キロ数〜200,000キロ近くまで使用することができます(イグニッションコイルが1本断線した場合は4本全て交換します)
直列4気筒のエンジンと比べるとスバルは水平対向4気筒のエンジンで片側2本ずつのイグニッションコイルなのでコイル自体はあまり熱を持たないような気がしますが…
今回のリコールはエンジン制御の設定の問題だけなのか?
前記したように不具合の原因は
- 点火系統のコンピューターの設定ミスによるものなのか
- イグニッションコイル自体に耐久性がなかったのか
定かではありませんがイグニッションコイルは非常に敏感なエンジン系統の部品です
ですから1回目のリコールが発生した時点でイグニッションコイル自体も全車両交換すべきだったと私は考えます
当初メーカーがなぜそのようにしなかったのか
- イグニッションコイルは本当にまだ使えると思っていたのか
- イグニッションコイル自体が高額な部品のために交換を渋ったのか
私はどうも後者のような気がします
走行中に突然エンジンが止まり車が道路上でストップしてしまうと言うのは非常に危険な状態です一般道の事故で済んでいたようですが万が一、高速道路上でこのようなことが起きて事故につながっていたとしたらぞっとします
メーカーやディーラーは小さな不具合に対しても敏感になり安全第一でクルマ造りを行ってもらいたいものです
イグニッションコイルは必ず純正品を使用する
また一般のユーザの方に一言、言いたいのは「イグニッションコイル」は社外品や中古品等は使用しないほうがよろしいかと思います
値段が安いので私も営業車に何度か社外品を使用したことがありますがやはり耐久性は純正品と比べて半分以下です
高温になる場所で使用する精密な部品なので精度の悪い社外品や中古品などの「イグニッションコイル」は長持ちしないと同時に性能的にも不安定なものが多いです
エンジンの不具合や長く使ったなどで「イグニッションコイル」を交換される場合はできるだけ純正品を使用された方がよろしいかと思います
またイグニッションコイルを交換される場合は取り付けられているスパークプラグがイリジウムやプラチナプラグであっても点検して電極部が摩耗しているものはできるだけ同時に交換されることを勧めます
※通常プラチナやイリジウムプラグは寿命は走行キロ数100,000キロ毎に交換とされていますが私は50,000キロほどで交換していました
これはスパークプラグの電極が摩耗して電極間が広がると火花を強くしようとイグニッションコイルが高電圧を維持します
この事によりイグニッションコイル自体の耐久性がなくなるため上記のようなメンテナンスをしていました
常日ごろのメンテナンスも忘れずに
なるほどエンジンの制御系統の設定の問題だけではなくてイグニッションコイルの精度の問題も考えられると言うことなんだね。
イグニッションコイルは1本大体7000円から一万5000位で1台分交換するとなると工賃含めると40,000円から70,000円もかかる部品なんだね
イグニッションコイルと言う部品がかなりの精度と耐久性を要求される部品だと言うこともわかっていただいたと思います
車は性能も良くなり壊れにくくなったというけれど、一旦壊れると修理をするのに高額な金額が掛かるんですね
そう!だから車を乗られる方も常日頃のメンテナンスを忘れずに車をいたわるつもりで乗ることで長く快適に愛車を維持することにもつながると思います
国土交通省に届け出のあったリコール届出一覧表
リコール届出一覧表にはリコールに関してのメーカーのお問い合わせ先(フリーダイヤル)や不具合内容、改善処置の内容、リコールを周知徹底させるための内容等が書かれています
また車の型式、リコール対象車の車体番号の範囲及び製作期間そしてそれぞれのリコール対象車の台数なども書かれていますので以下の資料を参考にご自身の車の車検証と照らし合わせながら確認されるとよろしいでしょう
既に多くのユーザの方にはダイレクトメールや電話、等でメーカーやディーラーから連絡があったと思いますが「インプレッサやインプレッサXV」の所有者でDMや電話等がないユーザの方は同じく以下の一覧表を参考にされると良いでしょう
リコール対策の識別方法
なおリコール対策済みの車両は車体番号打刻の6桁数字先頭の上部に黄色いペイントを塗布するとのことです
リコール対策済みか対策前か車体番号の数字の部分を確認することでわかると思います
車体番号の位置
インプレッサの車体番号の位置は運転席シート前方下のカーペットのコの字型の切れ込みをめくると打刻されています(著作権上画像を使用することができません、申し訳ありません)
「インプレッサ 車体番号 位置」で検索すると出てきます
リコール届出一覧表〜画像版
リコール届出一覧表〜画像拡大版
リコール届出一覧表〜PDF版(拡大可)
上の画像で確認がしずらい場合は下のPDFのファイルを拡大して確認してみて下さい(※ PDFファイルを拡大するには右上の【 》】印をクリックしてサブウインドウの「プレゼンテーションモード」をクリックすると拡大できます)
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まとめ
「インプレッサ・インプレッサXV」のリコールに関して解説してみました
今回、不具合を起こしたイグニッションコイルはガソリンエンジンを動かすための動力源で精度とともに熱に対する耐久性が要求される部品です
数年前にエンジン制御の設定の不具合からイグニッションコイルが壊れエンジンが止まると言うリコールを起こしていた言うことで今回が再リコールとのことです
メーカーやディーラーに対しては少しきつい言い方かもしれませんが…
一度目のリコールの時点でユーザーや社会に対する責任をもう少し真剣に考えていたならばエンジン制御の設定変更だけでなく全車「イグニッションコイル」の交換も視野に入れて対策を立てるべきだったと考えます
とにかく安全が第一です、少しでも危険だとと思われるような場合は迷うことなく最善の対策をとるようにメーカーにはお願いしたいものです
今回も最後までお読みいただきありがとうございました
また次回の記事でお会いしましょう