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クルマの『リコールと改善対策とサービスキャンペーン』って…何が違うんですか?

リコールと改善対策とサービスキャンペーンの違い
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クルマの『リコールと改善対策とサービスキャンペーン』って…何が違うんですか?

新聞やテレビ、今ではインターネットのニュースサイトなどで時々、国土交通省に○○の車のリコールの届出がされた…などとよく話題になります

またユーザーには[リコール]の手紙の他に[改善対策]や[サービスキャンペーン(延長保証)]などといった手紙が届くことがあります

一体この「リコール・改善対策・サービスキャンペーン」とはどのような事なのか?それぞれ何が違うのか?皆さんはご存知でしょうか?

今回はこれらのリコール・改善対策・サービスキャンペーン」などについて元営業車の整備管理者としてリコールや改善対策について何度となくディーラーの工場長や関係者とのやり取りはもちろん!メーカーとのやり取りなどで色々な経験を重ねて来た中から裏話なども交えながら話ができると良いと思っています

「リコール・改善対策・サービスキャンペーン」の違いを一言で言うと…

「リコール・改善対策・サービスキャンペーン」について簡単にわかりやすくこれらの違いをいうと…

車を使用する際の危険度の違いです

  • リコール】は車を使用するに辺り道路運送車両法の安全基準を満たしていない不具合がある為に対策を行うもの
  • 【改善対策】は車を使用するに辺り法律上の安全基準には触れないが製造上の不具合で安全や環境保全を確保することができない為に改善を行うもの
  • 【サービスキャンペーン】はリコールや改善対策にはあたらないが品質を確保するため不具合箇所を修理するもの

大まかにこのように分けることが出来ると思います

「リコール制度」に対しての国土交通省の役割とメーカーの責任

国土交通省が定義付けているリコール制度とは…

  • クルマの製造・販売メーカーの設計・製造過程に問題があって自動車メーカーが自らの判断で国土交通大臣に事前に届け出を行った上で不良箇所の回収・修理を行い事故やトラブルを未然に防止する制度

と定義づけています

要するに

リコール制度に対しての車メーカーの責任

「車の不具合により安全や環境に大きな問題が生じる可能性がある場合にクルマ製造・販売メーカーは自主的に事故やトラブルを未然に防止するために不良箇所の回収や修理を自主的に行ってください」と言う制度です

そんな中で国土交通省の役割としては例えば以下のようなことがあります

リコール制度に対しての国土交通省の役目

  • 不具合情報の収集・分析
  • メーカーのリコールへの取組状況の調査
  • 取組状況が不適切であれば指導又は監査等
  • 届出内容が不適切であれば改善指示
  • メーカーが自主的にリコールを行わず、かつ、事故が頻発している場合には勧告・命令

また、リコール届出があったときは、プレスリリースを行うとともに、国土交通省のホームページでも情報発信を行っています

リコール・改善対策の届出(令和6年分) - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。
リコール制度について
リコール制度とは

リコール制度は上記の図のような一連の流れで行われていますが、クルマユーザの方々から寄せられる不具合(故障やトラブル状況)の情報が非常に有効な役割を果たしていると言うことです

これはリコールの敏速かつ正確な実施のために必要なもので不具合情報は「自動車不具合情報ホットライン」までお寄せいただくようホームページに記載されています

国土交通省|自動車のリコール・不具合情報-クルマの異常を連ラクダ!自動車不具合情報ホットライン

元整備管理者としてリコールや改善対策の受け止め方

一般的に営業車は15年以上・700,000キロ以上使用します

これほどの長い年月、そして長い距離を走行させると言う事は途中、通常では考えられないようないろいろな故障やトラブルが発生します

その中で消耗品等の経年劣化は別として明らかにメーカーの製造上のミスや部品の品質などによる故障やトラブルと言うものも目にすることがあります

車メーカーの保証はエンジンやミッションなどの特別保証の部品等に関しても一般的に最長「5年・100,000キロまで」と言うふうに定められています

特別保障についても5年経過した車または100,000キロ以上走行した車に関してはどちらか一方が経過したことで保証がなくなると言うことです

これはどういうことかと言うと…営業車と言うものは1年間で50,000キロ以上走ります

と言う事は保証期間が2年しかないと言うことです

後の13年以上は全て有償で修理しなければならないと言うことになります

そして適正なメンテナンスを行っていても100,000キロを超えたあたりから車の修理が多発します

これを「10万キロ保証タイマー」といいます

※100,000キロ走ったら壊れると言う意味です

(※私が勝手に命名しました)

これでは営業車として車を使用している会社はたまったものではありませんです

一般的にリコールや改善対策・サービスキャンペーンとは別に明らかに製造上のミス、部品等の材質面での不具合に関しては個別にディーラーやメーカーに相談するような形になります

疑った言い方なのですが…メーカーとしては100,000キロ走ったらもう代替えしても良いのではないかと言うような考えで車を作っていると言われてもしょうがないと言わざるを得ません

営業車の整備管理者をしていた頃この「100,000キロ保証タイマー」と言うものをいろいろ経験しましたその中から2件ほどご紹介します

ブロアモーターのシャフトベアリングの材質不良

例えばヒーターの温風を車内に送り出すブロアモーターと言う部品があります

このモーターのシャフトを支えるベアリングの材質が悪く100,000キロを超えたあたりから異音が出始め最後にはモーターが止まってしまいヒーターの温風が出なくなると言うような故障が発生します

通常であれば100,000キロを超えているので有償修理と言われますがこのような症状が10台も20台も出ると言うことになるとそのまま黙っているわけにはいきません

前モデルであれば300,000〜400,000キロ走行しても異常がなかったものが新しいモデルでは100,000キロを超えたあたりでこのような症状が続くと明らかに製造上の部品の品質管理の問題であると専門家でなくともある程度の推測ができます

以前は車の純正部品に関しても日本製のものがほとんどだったのですが最近は海外で製造したものを逆輸入して国産車に純正部品として取り付けていると言う状態も珍しくなくなっています(このブロアモーターも海外製でした)

このような場合にはディーラーの責任者である工場長等と相談することにより無償で修理や部品供給をしてもらうようにしていました

※(ただし一般の方はここまで詳しい方はなかなかいないのではないかと思いますですから何か車に異常がある場合は詳しい方に相談されることを勧めます)

スロットルバルブサーボモーターの不具合

総走行キロ数が100,000キロを超えたあたりから信号でアイドリングで停止中にエンジンが止まってしまうとか交差点で徐行中にエンジンが止まってしまうなどのトラブルが多発して調べた結果

どうもピストン内に空気量を制御して送り込むスロットルボディー内のスロットルバルブを動かしているサーボモーターの動きが悪いのではないかとの結論に達しスロットルボディーと一体式となっているサーボモーターを交換した結果症状が改善され不具合が出なくなったことがありました

写真はイメージです

①〜ギヤボックス(サーボモーターとスロットルバルブをつなぐギヤが入っています)

②〜スロットルバルブ(ここが開いてエンジン内に空気が供給されます)

③〜スロットルボディー(一式)アッセンブリー

④〜サーボモーター(ここの不具合でエンストしたと言うことです)

どういうことかと言うとこのギヤを介してスロットルバルブを動かしているサーボモーターの精度が悪くスロットルバルブが安定せず完全に閉じてしまってピストン内に空気を供給することができなくなりエンストする事態になると言うことです

サーボモーターの不具合が内部の部品の品質によるものなのかまたはスロットルボディー内に埋め込まれているために放熱性が悪くなり不具合が発生するのか具体的な検証は私の所では結論を出すことができませんでしたが不具合部品がスロットルボディー内のサーボモーターである事は明らかでした

この件では年数は関係なく200,000キロまでは無償で修理していただくことで解決しました

また200,000キロ超えてるものに関してはそれ相応の金額を負担して修理することでこちらも解決しました

※例えば300,000キロ走行して不具合がある車に関しては部品代の半額を負担していただくと言うような形です

整備管理者はクルマの特異な不具合に関してはその都度メーカーやディーラーと相談する

このように整備管理者としてリコールや改善対策をどう受け止めているかまたどう対応しているかと言う事について話してきましたが要は常識にとらわれずその都度ディーラーやメーカーと相談して車の不具合を解決してきたと言うことです

ですから皆さんも

自身の車に納得できない不具合があるけど「リコールや改善対策」の対象になっていないから有償修理になると考えずに少し変だと思われる場合はディーラーに相談されるのみならず、車に詳しい人や国土交通省の相談窓口等を利用されることも頭に入れておいても良いでしょう

※国土交通省の相談窓口には掲示板も設置されておりクルマユーザーからの色々な疑問や不具合などが寄せられています

一般の方でも閲覧することができるので参考になる部分が多いと思います

以下のページでは車名など入れて検索すると現状ではリコールや改善対策にはなっていないものの一般ユーザーから国土交通省に連絡のあった車の異常な不具合などを閲覧することができます

https://carinf.mlit.go.jp/jidosha/carinf/opn/index.html
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付録「リコール・改善対策・サービスキャンペーン」の違いについての詳細

国土交通省 自動車局 審査・リコール課(回収・修理の定義)

リコールや改善対策・サービスキャンペーンは車製造メーカーが無償で車歴に関係なく責任を持って修理することが定められています

※一部サービスキャンペーンにおいては期間が定められている場合があります

リコールとは?

リコールとは、同一の型式で一定範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、道路運送車両の保安基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことをいいます。

改善対策とは?

改善対策とは、リコール届出と異なり、道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上看過できない状態であって、かつ、その原因が設計又は製作過程にあると認められるときに、自動車メーカー等が、必要な改善措置を行うことをいいます。

サービスキャンペーンとは?

サービスキャンペーンとは、リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置を行うことをいいます。

  • ※ リコール・改善対策の際には、安全確保の観点などから修理を必ず受けるようにしましょう。なお、道路運送車両法では、自動車ユーザーにもご自分の自動車が保安基準に適合するよう点検・整備する義務があります。この点からも、修理を受ける必要があります。
国土交通省|自動車のリコール・不具合情報-クルマの異常を連ラクダ!自動車不具合情報ホットライン
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まとめ

今回は「リコールと改善対策とサービスキャンペーンの違い」について記事を書いてきました

上記の違いについてお分かりになられたでしょうか

  • リコールは国の定める安全基準に適合していない
  • 改善対策は安全基準に適合しているが車を使用するにあたって適正ではない
  • サービスキャンペーンはリコールや改善対策には適合しているが車の品質を確保できない

などのそれぞれ改善・修理するための対策だと言うことを話してきました

またリコールや改善対策・サービスキャンペーンにとどまらず車を使用していて異常な不具合や考えられない故障等が起こった場合はディーラーに相談するのみならず車に詳しい人や国土交通省の車のホットラインなども利用されることを話してきました

一般の方で車に詳しい方は余り居られないと思います、今回の記事が車のユーザにとって少しでも役に立てれば幸いです

最後までお読みいただきありがとうございました

また次回の記事でお会いしましょう

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