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クルマのハンドルが重い(ーー;)原因は…
クルマのハンドルが重いと感じて悩まれている方も多いのではないでしょうか…どこが悪いのか・何が原因なのかを解説していきます
《原因は多岐に渡ります》
クルマのハンドル操作が重いと言ってもいろいろな原因が考えられます…
まずはじめにタイヤが適正に管理されているのかタイヤの状態・タイヤの種類など基本的な管理がされている事が修理をする前提となります
それからステアリング系統は勿論!下回りのショックアプソーバーやブッシュ類・ステアリングシャフトジョイントなどの不具合によってもハンドル操作が重くなる場合もあります
また、クルマのハンドルが重いと言ってもどれくらい重いのか「いつもより重い」「強く回さないと動かない」などと程度もあります
《ハンドルの重さの程度として》
なんとなく重い
・タイヤの空気圧を点検してみましょう規定値の場合は10~20%大目に空気圧を調整してみます
いつもより重い
・aと同じように空気圧の調整とパワステオイルが適正かパワステベルトは適正かなどを点検する必要があります
片手で回せないほど重い
・aとbの点検に加え下回りの点検を実施しなくてはなりません…今回はこの《片手で回せないくらい重い》症状について原因と修理箇所を解説します
パワーステアリングが重い場合の基本点検箇所
ハンドル操作が重いと感じたらまずはじめに基本的な点検をしなくてはなりませんタイヤの空気圧やベルトの張りパワステオイルの量などです
明らかな原因箇所が判明している以外は基本点検を実施してからステアリング系統の故障探求に移っていきます
これはステアリング系統の原因探求の場合だけではなくあらゆるクルマの不具合の原因探求をする場合には先ずは基本点検から行うということです
《タイヤに起因する原因》

ハンドル操作が重い原因として第一に上げられるのがタイヤに起因する原因です…タイヤが摩耗していたり・サイズ・種類が違っていたりすると重くなります
タイヤが摩耗していないか
・タイヤが摩耗していると接地面積が広くなり一般的にハンドルが重くなります摩耗限度付近のタイヤは新しいタイヤに交換しましょう
タイヤの空気圧は適正か
・タイヤの空気圧が低いと一般的にハンドルは重くなります空気圧不足によりハンドル操作した時の抵抗が増大するためです
・規定値の状態でもハンドル操作が重い場合には空気圧を通常の10~20%程度多く入れてみましょう…これでかなり改善されます
・特に冬場はタイヤの空気圧が低くなる傾向になります気温が下がり気圧の変化も加わり空気圧が下がりハンドル操作が重くなります
適正なタイヤサイズか
・純正装着のタイヤと交換して扁平タイヤや幅広タイヤを装着するとハンドル操作が重くなりますこれも接地面積が広くなり抵抗が大きくなるためです
・口径(直径)が大きなタイヤサイズは地面との接触面が大きくなるためにハンドル操作が重くなります
適正なタイヤの種類か
・貨物車に乗用車用のタイヤを取り付けてもハンドル操作は重くなりますこれも地面との接地面積が広くなり抵抗が増大するためです
・タイヤ自体にも一般的に使用するタイヤ・レース用のタイヤなどいろいろな種類がありますクルマにあったタイヤの選択が必要です
・タイヤの種類の中には乗り心地重視でサイド面を極限まで柔らかく作られているものがありますこのようなタイヤは一般的にハンドル操作が重くなります
ハンドルが重いと感じたら先ずはじめにタイヤの空気圧を確認してみましょう
《タイヤ以外の原因と基本点検》
ステアリングホイールの交換について
・小さな口径のハンドルに交換するとハンドル操作が重くなります…回転運動のテコの原理と同じです…中心軸から近くなると重くなるということです
・反対にハンドル系を大きくしたり太めのハンドルカバーを取り付けることにより簡易的にハンドル操作を軽くすることができます
パワステオイルは適正に管理されているか
・パワーステアリングオイルの量は適正か・オイルの汚れ具合はどうか・オイルの粘度は適正かなどを確認します
・パワステオイルは交換時期が指定されていませんがハンドル操作が重いなど症状が出ている場合には水分を含んでいる場合もあります…全量交換された方が良いでしょう
・またパワステオイルにもディラーによっては寒冷地用などの何種類か粘度の違うオイルが出ています抵抗の少ないオイルを選ぶことも選択の1つです
パワステベルトは適正に管理されているか
・油圧式のパワステはクランクプーリーの回転をパワステベルトを介してパワステポンププーリーに伝達します
・このパワステベルトが適正に管理されていないとパワステポンプに動力が伝達されずに油圧が上がらずハンドル操作が重くなります
・パワステベルトは交換時期が規定されているので適正な管理をすること又ベルトの張りも規定値なのかを点検する必要があります
ステアリングシャフトジョイント部の固着
・ハンドルを操作した時にステアリングシャフトを介して角度を変えてステアリングラックに伝達するためにジョイントが2箇所ほどに使われています
その使われているジョイントの油ぎれや固着によりハンドルを操作した時にスムーズに力が伝わらなくなったりガタを感じたりする場合があります
ステアリングシャフトから外してジョイント部を取り外して前後左右にスムーズに動くかガタはないか確認することが必要です
ジョイントを外した場合にはステアリングシャフト自体もスムーズに回転するか点検が必要です(作業時はスパイラルケーブルを切断しないように取り外して点検すること)
更にステアリングラック本体側も併せて点検します…車をあげてタイヤを左右に切った時にスムーズに回転するか確認しましょう
ステアリングシャフトジョイント部の固着によるハンドル操作の不具合も珍しくないので基本点検として必ず確認し不良の場合は修理または交換すること
ステアリングラック本体の調整不良・不具合
ステアリングラック本体側にもラック内部のシリンダーの左右の動きを調整する箇所があります…ラック本体の点検で異常を感じたら規定値に調整しましょう
ロアアームボールジョイントの不具合
フロントタイヤの支点は下がロアアームのボールジョイントと上がショックアブソーバーアッパーマウントの上下二箇所が支点となり左右に回転します
その下側のロアアームのボールジョイントが固着したりガタが発生するとハンドル操作が重くなったり操作時に引っかかりを感じたりハンドルが重くなります
タイヤを左右に動かしてみたり単体で操作してみて違和感や異常が確認できたらロアアームのボールジョイントのグリースアップや交換が必要になります
ショックアブソーバーアッパーマウントの不具合
フロントショックアブソーバー上部にはアッパーマウントが取り付けられていますアッパーマウントの中心部には小さなベアリングが取り付けられています
タイヤを左右にスムーズに動かすためのアッパーマウント中心に取り付けられているベアリングが固着したり油ぎれを起こし動きが悪くなるとハンドル操作が重くなります
アライメントの不具合
タイヤのアライメント調整が狂っている場合もハンドル操作が重くなります事前にアライメント調整もしておくこと
特にトーやキャスター角に狂いがあるとハンドルが重くなります…またタイヤの偏摩耗も起こすのでシッカリと調整することが必要です
ブレーキの引きずりによる不具合
・ハンドル操作が軽くなるのは車を前進させながらゆっくりハンドルを切ることによりスムーズに回転します
ブレーキが引きずっていてタイヤの動きが鈍くなりクルマが前進しない場合にはハンドル操作が重くなる場合があります
ブレーキの引きずりは無いかクルマをあげてタイヤを回してみて確認する必要があります
ハブベアリングの引きずりによる不具合
ハブベアリングの引きずりや焼き付きもブレーキの引きずりと同じですクルマをあげてタイヤを回してハブベアリングに異常がないか確認すること
※ブレーキの引きずりとハブベアリングの引きずりの点検作業は同時にされると良いでしょう
この様にハンドル操作が重いということで点検するにしてもステアリング系統よりも先に基本点検をしなければならない箇所がたくさんあります
パワーステアリング系統の故障探求
上記の基本点検を全て行っても尚且つハンドル操作が重い場合にはパワーステアリング系統の点検と故障探求に進んでいきます
パワーステアリング装置には大きく分けて「油圧式パワーステアリング」と「電動式パワーステアリング」の2種類があります
それぞれの構造図と壊れやすい箇所を解説していきます
油圧式パワーステアリングの点検箇所
油圧式のパワーステアリングは近年まで車種を問わず広く使われています…パワステオイルに油圧をかけてステアリングラックシリンダーに送り出してハンドル操作を行います
利点としては左右にハンドルを切った時に自然なフィーリングで操作できる点にあります…またハンドルから手を離すと自然に直進状態に戻ります
欠点としてはエンジンエネルギーを使用する為に燃費が悪くなります…また配管や部品点数が多く構造が複雑になります更にオイル漏れなどのリスクも出てきます
では油圧式のパワーステアリングのハンドル操作が重くなる原因についてみていきましょう

パワステポンプ関連
クランクプーリーからパワステベルトを介してパワステポンププーリーを回して油圧を発生させてステアリングラックシリンダーに送り出します
このパワステポンプ内のローターやローターシム・スイッチなどに不具合が生じ適正な圧力でパワステオイルをステアリングラックに送れなくなるとハンドル操作が重くなります
パワステポンプの吹き出し圧力を点検して規定値にない場合にはパワステポンプのオーバーホールやリビルト品などと交換しなければなりません
パワステプレッシャースイッチ
ハンドルをアイドリング状態で左右どちらかに回転させようとすると停止状態ではハンドル操作が重くなります
その際にパワステポンプ内の油圧を感知してコンピューターにエンジン回転(アイドルアップ)をあげるように信号を送るセンサーがパワステプレッシャースイッチです
パワステプレッシャースイッチが壊れるとコンピューターに信号を送ることができずにアイドリング回転が上がらずにハンドル操作が重くなります
アイドルアップができていない場合にはプレッシャースイッチの抵抗値や電圧が規定値にあるか点検して規定外の場合には交換の必要があります
配管系統のつまり
パワーステアリングオイルは交換時期の指定が改めて特定されていません、エンジンオイルのように何キロごとの交換とかが指定されていないということです
そのために新車時から一度も交換をしないで乗られている方が多く見受けられます、パワステオイルも長く使用していると水分を含んだり劣化してドロドロになります
まれにですが永年車に多い症状としてパワーステアリング系統配管内の詰まりや抵抗が大きくなり油圧が確保できずハンドル操作が重くなる場合があります
このような場合には配管の劣化やオイル漏れなどの症状も同時に確認されることが多くなります、クルマを長く乗られるのであればパワーステアリング系統の配管もアッセンブリーで交換された方が良いでしょう
パワーステアリングオイルが適正か
ご存知ない方も多いのではないでしょうか、パワーステアリングオイルにもエンジンオイル同様に寒冷地用のパワーステアリングオイルがあります
寒冷地用のエンジンオイル同様に粘度が柔らかく配管内を流れる抵抗の少ないオイルです
パワーステアリング系統の各部品などを点検交換してもハンドル操作が重い場合には寒冷地仕様のパワーステアリングオイルと交換してみましょう
ただし注意点として寒冷地仕様のパワーステアリングオイルは粘度が柔らかいのでオイル漏れのリスクがあります、交換後は日常点検を怠らないように注意しましょう
電動式パワーステアリングの点検箇所
油圧式のパワーステアリングに変わり近年広く使われるようになったのが「電動式パワーステアリング」です
電動式のパワーステアリング装置の特徴はエンジントルクを使用しないために「馬力ロスの低減」それに伴う「燃費の向上」「部品点数の少なさ」
「オイル漏れなどオイル管理からの解放」「配管やポンプなどが無いためにエンジンルーム内のレーイアウトからの解放」などがあります
上記のような理由から特に軽自動車などを中心に積極的に採用されるようになりました
ただしその反面、専用のコンピューターや高性能なモーターなどを使用することにより壊れた場合の修理金額が高額になりやすいという傾向にあります
更にコンピューターを使用していることにより修理にはコンピューター診断機などを使用しなければ故障探求や修理ができないという事にもなります
また電動式のパワーステアリングは油圧式のパワーステアリングと違いハンドルを切った後に自然とハンドルが戻ろうとしない構造になっています
これはステアリングシャフトに組み込まれたギヤと電動モーターのギヤが常に噛み合っているためにタイヤ自体は真っ直ぐに戻ろうとしますが油圧式よりも戻りが悪くなります
以上のような特徴を持つ電動式パワーステアリング装置が重くなる原因を見ていきましょう

パワーステアリングモーターの不具合
上記にあげた基本点検を全て行っても異常がない場合、電動式パワーステアリング装置の不具合で最も多いのが「パワーステアリングモーター」です
当然、パワーステアリングモーターが故障するとハンドル操作が重くなります、またカクカクしたようなハンドル操作感があったり元に戻ろうとする直進性も弱くなります
車種によっては警告灯が点灯する車種もあります
警告灯が点灯していなくてもハンドル操作が重く感じる場合にはコンピューター診断機などを使用して故障コードが記録されていないか点検する必要があります
上記が確認されない場合には単体点検で抵抗値や電圧を図り作動を確認して異常がある場合には中古品などは使わずにメーカー純正の新品と交換する事
パワーステアリングコンピューターの不具合
電動式のパワーステアリング装置には専用のコンピューターが設置されています、ハンドル操作状態・エンジン回転状態などをセンサーを介して検知しています
パワーステアリングコンピューターは運転中のハンドル操作やエンジン回転状態から最も的確な信号をパワステモーターに送りハンドル操作をアシストします
このコンピューター自体の設定によりハンドル操作感が大きく変わります、特に油圧式のパワーステアリングから電動式のパワーステアリングに乗り換えた人にとっては違和感を感じる方が多いかもしれません
そしてメーカーとしてもそれぞれの車種に合わせて電動式パワーステアリングの設定をしますがそれらの設定を全ての人が満足するとは限りません
電動式パワーステアリングにはハンドル操作が重く感じるなどの他に上記のような操作感も油圧式と比べられることがあります
電動式パワーステアリング車を購入される場合には出来るだけ試乗してハンドル操作フィーリングを確認した上で判断された方がよろしいでしょう
車のタイヤが重い原因に関しては「のっぴードライブログ」も参考にされてください

まとめ
「クルマのハンドルが重い!」という症状について解説してきましたが如何でしたか
「ハンドルが重い!」…という症状だからすぐにパワーステアリング系統だ!…と判断せずにまずはタイヤの状態など基本点検整備をすることが大事です
タイヤの空気圧に関してはハンドル操作が重いと感じるのであれば規定値よりも大目に入れて様子を見てみましょう、スタンドなどに行けば空気入れも準備していますよね
ご自分で基本点検などをされても症状が改善されない場合、特にパワーステアリング系統の修理に関しては専門家に依頼された方が良いでしょう
また電動式パワーステアリング装置を装着されている車種に関してはコンピューター診断機などを使用する場合もあります
修理依頼される場合にはディーラーなども含めコンピューター診断機を所持されているのか確認されてから頼まれた方が良いでしょう
ではまた次回の記事でお会いしましょう