ハンドルが重い原因の深堀解説と故障探求
パワーステアリング装置に起因するもの
パワーステアリング装置には大きく分けて「油圧式パワーステアリング」と「電動式パワーステアリング」「電動油圧式パワーステアリング」の3種類があります
3種類の装置に共通する不具合症状から解説します
パワーステアリングラックに起因する不具合
パワーステアリングラックは油圧式パワーステアリングと電動式パワーステアリング/電動油圧式パワーステアリングのすべてに使用されていてステアリングホイールの回転運動を左右の水平運動に変換する装置です

ステアリングホイールに連結されているステアリングラック内のピニオンギヤがラックバーのギヤと噛み合うことにより回転運動が水平運動に変換され車はハンドルを回転させて左右に曲がることが出来ます

ステアリングラック取り付け不良
ステアリングラックはグロメット/ブッシュなどと呼ばれる衝撃を緩和するゴムの部品を介して車体に取り付けられています
このグロメットやブッシュなどが劣化して硬化したりすり減ったりするとステアリングラックにガタが発生します
このガタによりステアリングラックの左右の動きにもガタが発生しハンドルが重く感じる場合があります
ステアリングラックエンドの不具合
ステアリングラックエンドはステアリングラックとタイヤが取り付けられているホイールハブを結ぶ部品で上下左右に自由に動けるようにボールジョイントが組み込まれています

長年の使用や衝撃などでボールジョイント部にガタが生じるとステアリングラック内の左右運動を的確にタイヤに伝えることができなくなるためにハンドルが重く感じる場合があります
ステアリングラック本体の不具合
ステアリングラック内部のラックバーの左右の動きを調整するラックガイドがピンニオンギアボックスのすぐ下にロックナットで取り付けられています
このラックガイドの締め付けトルクが不適格だったり内部のスプリングが損傷しているとラックバーの動きが鈍くなるためにハンドルが重くなります
ラック本体の点検で異常を感じたら規定値に調整しましょう
ステアリングラック本体からオイル漏れが発生してる場合も油圧を発生することができずハンドルが重くなります
オイル漏れなどステアリング系統に目視で確認できる不具合箇所がある場合は事前に修理しておきましょう
パワーステアリングの構造図と壊れやすい箇所
電動式パワーステアリング
油圧式パワーステアリング装置に変わり広く軽自動車やエコカー/ハイブリット車を中心に使われるようになったのが「電動式パワーステアリング装置」です
電動式のパワーステアリング装置の特徴はエンジントルクを使用しないために「馬力ロスの低減」それに伴う「燃費の向上」「部品点数の少なさ」「オイル漏れなどオイル管理からの解放」「配管やポンプなどが無いためにエンジンルーム内のレイアウトの自由度」などがあります
上記のような理由から特に軽自動車やエコカーを中心に積極的に採用されるようになりました

ただしその反面、専用のコンピューターや高性能なモーターなどを使用することにより壊れた場合の修理金額が高額になりやすいという傾向にあります
更にコンピューターを使用していることにより修理にはコンピューター診断機などを使用しなければ故障探求や修理ができないという事にもなります
また電動式のパワーステアリングは油圧式のパワーステアリングと違いハンドルを切った後に自然とハンドルが戻ろうとしない構造になっています
これはステアリングシャフトに組み込まれたギヤと電動モーターのギヤが常に噛み合っているためにタイヤ自体は真っ直ぐに戻ろうとしますが油圧式よりも戻りが悪くなります
以上のような特徴を持つ電動式パワーステアリング装置が重くなる原因を見ていきましょう
電動モーター作動不良
電動式パワーステアリング装置の不具合で最も多いのが「パワーステアリングモーター」です
当然、パワーステアリングモーターが故障するとハンドル操作が重くなります
またカクカクしたようなハンドル操作感があったり元に戻ろうとする直進性も弱くなります
車種によっては警告灯が点灯するものもあります
警告灯が点灯していなくてもハンドル操作が重く感じる場合にはコンピューター診断機などを使用して故障コードが記録されていないか点検する必要があります
上記が確認されない場合には単体点検で抵抗値や電圧を図り作動を確認して異常がある場合には中古品などは使わずにメーカー純正の新品と交換する事
パワーステアリングコンピューターの不具合
電動式のパワーステアリング装置には専用のコンピューターが設置されています
ハンドル操作状態・エンジン回転状態などセンサーからの信号を検知しています
パワステコンピューターは走行中のハンドル操作やエンジン回転状態から最も的確な信号をパワステモーターに送りハンドル操作をアシストしています
このコンピューター自体の設定によりハンドル操作感が変わってハンドルが重く感じたりします
特に油圧式のパワーステアリングから電動式のパワーステアリングの車に乗り換えた人にとっては何か違うと感じる方が多いかもしれません
メーカーとしても車種に合わせて電動式パワーステアリングの設定をしますが全ての人がメーカーの設定した操作フィーリングを満足するとは限りません
電動式パワーステアリングにはハンドル操作が油圧式と比べて重く感じるなどの他に上記のような操作フィーリングも油圧式と比べられることがあります
電動式パワーステアリング車を購入される場合には以上の点を留意して出来るだけ試乗してハンドル操作時のフィーリングを確認した上で判断された方がよいでしょう
油圧式パワーステアリング
油圧式のパワーステアリング装置はパワーステアリングオイルに油圧をかけてステアリングラック内のシリンダーにオイルを送り出してラックエンドを左右に動かしてハンドル操作をアシストしています
油圧式パワーステアリングの利点は左右にハンドルを切った時に自然なフィーリングで操作できる点にあります
またハンドルから手を離すと自然に直進状態に戻ります
欠点としてはエンジンエネルギーを使用する為に燃費が悪くなりパワーも落ちます

また配管や部品点数が多く構造が複雑になりオイル漏れなどのリスクも出てきます
では油圧式のパワーステアリングのハンドル操作が重くなる原因についてみていきましょう
パワーステアリングベルトは適正に管理されているか
油圧式のパワーステアリング装置はクランクシャフトプーリーの回転をパワーステリングベルトを介してパワステポンププーリーに伝達します

このパワステベルトが適正に管理されていないとパワステポンプに動力が伝達されずに油圧が上がらずハンドル操作が重くなります
パワステベルトは交換時期が規定されています
適正な管理をしてベルトの張りも規定値なのかを取り扱い説明書を見ながら確認してください
パワーステアリングオイルは適正に管理されているか
パワーステアリングオイルの量は適正か・オイルの汚れ具合はどうか・適正なオイルを使用しているかなどを確認します
パワステオイルは交換時期が指定されていませんがハンドル操作が重いなど症状が出ている場合には水分を含んでいる場合もあります
全量交換された方が良いでしょう
またご存知ない方も多いかもしれませんが
パワーステアリングオイルにもエンジンオイル同様に寒冷地用のパワーステアリングオイルがあります
寒冷地用のエンジンオイル同様に粘度が柔らかく配管内を流れる抵抗の少ないオイルです
パワーステアリング系統の各部品などを点検交換してもハンドル操作が重い場合には寒冷地仕様のパワーステアリングオイルと交換してみましょう
ただし注意点として寒冷地仕様のパワーステアリングオイルは粘度が柔らかいのでオイル漏れのリスクがあります
交換後は日常点検を怠らないように注意しましょう
パワーステアリングポンプの不具合
クランクプーリーからパワステベルトを介してパワステポンププーリーを回して油圧を発生させて油圧ホースやチューブを通ってステアリングラック内のシリンダーにオイルを送り出します
このパワステポンプ内のローターやローターシム/オイルの通路などに不具合が生じ適正な圧力でパワステオイルをステアリングラックに送れなくなるとステアリングハンドル操作が重くなります
パワステポンプの吹き出し圧力を点検して規定値にない場合にはパワステポンプのオーバーホールやリビルト品などと交換しなければなりません
パワーステアリングポンププレッシャー スイッチ不良
ハンドルをアイドリング状態で左右どちらかに回転させようとすると信号待ちの停止状態やアイドリング状態ではハンドル操作が重くなります

パワステポンププレッシャースイッチの役割はハンドルを回転することによりエンジンに負荷がかかりエンジン回転が低下してハンドル操作が重くなったときにパワステポンプ内の油圧を感知してエンジン回転をあげるようにコンピューターに信号を送る役目をしています
これにより通常は800回転ほどのアイドリング回転数が1200回転ほどまで上がりスムーズなハンドル操作ができます
パワステプレッシャースイッチが壊れるとコンピューターに信号を送ることができずにアイドリング回転が上がらずハンドル操作が重くなります
アイドルアップができていない場合にはプレッシャースイッチの抵抗値や電圧が規定値にあるか点検して規定外の場合には交換の必要があります
配管系統のつまり
パワーステアリングオイルは交換時期の指定が特に定められていません
エンジンオイルのように何キロごとの交換とかが指定されていないということです
そのために新車時から一度も交換をしないで乗られている方が多く見受けられます
パワステオイルも長く使用していると水分を含んだり劣化してドロドロになります
まれにですが永年車に多い症状としてパワーステアリング系統配管内の詰まりや抵抗が大きくなり油圧が確保できずハンドル操作が重くなる場合があります
このような場合には配管の劣化やオイル漏れなどの症状も同時に確認されることが多くなります
クルマを長く乗られるのであればパワーステアリングオイルの交換やパワーステアリング系統の配管もアッセンブリーで交換された方が良いでしょう
電動油圧式電子制御パワーステアリング
電動油圧式パワーステアリングは、近年増えてきたステアリング装置の1つでパワーステアリングポンプを電動モーターで回す仕組みです
油圧式パワーステアリング装置と違うのはベルトではなく電動モーターでポンプを駆動するというものです

ベルト駆動式油圧パワーステアリングの自然で滑らかなステアリングフィールをそのままに、エンジン出力を利用せず燃費に有利な電動式を組み合わせることで、操作フィーリングと燃費の両立を実現しました
修理経験がないので細かな事は言えませんが電動式パワーステアリング装置と油圧式パワーステアリング装置の利点と欠点があるとおもいます
不具合箇所もそれぞれの装置と同じような症状が確認されるのではないでしょうか
不具合症状が出た場合は他の装置と同じようにまず初めに基本点検を実施してください
実は車のハンドルが重い原因として思いもよらないような箇所があります
原因がわかればなんだそんなところ!?かと言いたくなるようなところです
後半はそのような箇所を解説していきます!
では続きをどうぞ!