完全解説!「車のエアコンの風がぬるい/効きが悪い!8ケ所の不具合」点検と対処方法2
3〜ブロアファンの不具合と応急処置
ブロアファンはダッシュボードの吹き出し口へ風を送り出す扇風機のような役割をする部品です
ブロアファンからの風はエアコンフィルターでゴミやほこりをとりのぞいたあとエアダクト内を通ってエバポレーター(エアコン吹き出し口の奥にある冷却されたエアコンガスが細い配管の中を通っている部分)の冷却された細い配管の間を通りエアコン吹き出し口へと送風されます
ブロアファンも使い方によりますが早いものでは5年5万キロほどで不具合を起こします
ブロアファンが不具合を起こすと症状として風量が弱くなり最大風量にしても強い風がでなくなったり突然、風が止まったりします
また「コンコン、キュルキュル」と異音を発生する場合もあります
ブロアファンの故障原因はファンモーターの中のブラシがすりへってブラシと電極が接触不良を起こしモーターが回転しなくなる場合やモーターシャフトの軸受け部の油ぎれやベアリングの損傷によるものです
エアコン関係のヒューズが切れやすい場合はブロワーファンモーターが壊れかけている場合もあるので5年5万キロ以上使用されている場合は交換も視野に入れて修理に挑みましょう
この場合の修理はブロアファンとモーターを一体で交換します
ブロアファンは助手席下の足元上やダッシュボード中央下の奥に取り付けられている場合が多く
エアコン吹き出し口の風量を最大にしても弱い場合や風が全く出ない場合は
手の甲でブロワーファンの取り付けられて部分を軽くたたくと
ファンが動きだして回転する場合があります
ブロアファンが回らないときや風量が弱いときに応急処置として試してみてください
ブロアファンの不具合については以下の記事でも現場写真を添付して紹介しています
4〜寒暖切り替えサーボモーターの不具合と応急処置
寒暖切り替えサーボモーターは主にオートエアコン装着車などに多く使用されています
従来はエアコン操作パネル内のレバーを手で切り替えて車内の寒暖を操作していたものをモーターにより左右に動くアームを利用し棒状のリンクなどを介してバルブの開閉の操作を行い車内に温水を送り込んだり止めたりする操作をしているのが寒暖切り替えサーボモーターです
このサーボモーターが不具合を起こすとアーム部分が左右に動かずバルブを開閉する操作ができなくなります
そのため寒暖の切り替えができなくなりエアコン吹き出し口からぬるい風が出てくることがあります
動作音を確認して良否判定を確認する場合もできますが目視が難しいのとセンターコンソールを分解しないと見えてこないと言うこともあり専門家に任せた方が良いと考えています
※車種によっては簡単に交換できる場合もあります
※ネットで検索してみましょう※今の世の中ネットで何でも出てきます(笑)
サーボモーターの取り付け場所は一般的にセンターコンソール中央下側の奥に取り付けられています
一般の方が良否判定を行う場合に点検する方法としてコンソール中央下側のサーボモーターの取り付け部分を手の甲で軽く叩いて衝撃を加えると動く場合もあるのでやってみる価値はあります
またエアコン操作パネル内の寒暖切り替えレバーを連続して何度か左右に動かして見ることも実践してみて下さい
※後付の配線や機器に干渉している場合もあります
5〜エアコンコンプレッサーの不具合
エアコンコンプレッサーはエアコンガスを圧縮しコンデンサーで冷やされエバポレーターへ冷たいエアコンガスを圧送する働きをしています
エアコンコンプレッサーにはエンジンの動力を利用してベルトを介してプーリーを回すタイプと電気を動力としてモーターで駆動するタイプの2種類があります
どちらもエアコンガスを圧縮して圧送するタイプなので内部の部品の摩耗などで圧力が上がらずガスを送ることができなければエアコン吹き出し口からぬるい風しか出てこないと言うことになります
また長年の使用により振動やシール等の劣化により本体からガスが漏れて圧力不足になったりすることもあります
そのような場合も吹出口から冷たい風が出てこないと言うことになります
またベルト駆動式コンプレッサーにおいては通常はコンプレッサープーリーは空回りしているのですが
マグネットクラッチと言うものが取り付けられておりここに電気が導通することによりプーリーとコンプレッサーシャフトが連結してコンプレッサーを回す仕組みになっています
このマグネットクラッチが摩耗して連結がうまくいかなかったりマグネットクラッチ自体に電気が流れてきていない場合もコンプレッサーが動作しないのでエアコンの風はぬるいままになります
エアコンコンプレッサーを点検する場合はエアコンガス循環系統の低圧側・高圧側のガスの圧力を計るマニホールドゲージ エアコンガスチャージが必要となります
アマゾンや楽天市場では値段も5000円程度から販売されており使用方法もネットやYouTubeにアップロードされているので挑戦してみても良いでしょう
一般的にエアコンコンプレッサーは10年100,000キロは故障もなく使用できますが使用頻度によっては5年50,000キロを超えると異音や不具合が発生してきたり冷却能力が落ちてきたりするものもあります
そのような状態の車でエアコンの効きが悪くなったり不具合が発生した場合はエアコンコンプレッサーの交換も視野に入れて修理に当たることが求められます
エアコンコンプレッサーの修理は車種によっては100,000円前後かかる場合もあります
エアコンを使用する場合も闇雲に常にスイッチを入れておくのではなく状況を確認しながら使用することが故障なく長く使えることになります
6〜コンデンサーの点検と簡単な修理方法
コンデンサは走行風を受けてエアコンガスを冷やしためにエンジンの前方に取り付けられています
薄い平たい配管が何本も束になった構造で配管と配管の間に放熱性をよくし冷却性能を上げるためにアルミの薄いフィンが隙間なく取り付けられた作りになっています
コンプレッサーから圧送されてきた高温高圧のガスはこの中を通り冷却され液体ガスになりレシーバーに入ります
コンデンサー内を通るエアコンガスは車が走っている時は走行風で冷やされ停車中やアイドリング中はコンデンサーブロアファンで冷却されます
コンデンサーが不具合を起こす最も多い原因はこの網目状の表面や隙間にゴミや埃が蓄積して風の通りを悪くし内部を通るガスを十分に冷却できなくなる場合です
このことによりガスが十分に冷却されず吹き出し口からぬるい風しか出なくなるのです
コンデンサーの点検箇所としてはこの表面の網目部分にゴミや埃が溜まっていないか確認して蓄積している場合はコンデンサーの裏側からホースなどを使い水道水でゴミやホコリを洗い流すことにより冷却性能が復活する事が多々あります
また長年の使用による振動や劣化により接続部分などからガス漏れを起こしている場合があります
ホースなどとの繋ぎ目に霧吹きなどで石けん水を噴霧し漏れがないか確認してください
エアコンガスを闇雲に補充する前に以上の箇所を必ず点検するようにしてください
7〜コンデンサーファンの不具合と応急処置
コンデンサーファンはコンデンサーの裏に取り付けられておりエンジンの駆動力をベルトを介してファンを回転させるタイプとモーターでファンを回転させるタイプの2種類があります
現在ではモーターでファンを回転させるコンデンサー電動ファンが主流になっているのでこちらの方で仕組みや不具合内容を説明します
コンデンサー電動ファンの役目はコンデンサー内を通るエアコンガスをコンデンサーの裏側かな空気を吸い込むことにより冷却します
特に車が停止している信号待ちやアイドリング状態の時に冷却効果を上げるために作動します
この電動ファンのモーターが不具合を起こすとファンが回転しなくなりコンデンサー内のエアコンガスを冷やすことができなくなり吹き出し口からぬるい風が出てきます
電動ファンモーターも使用状況によっては5年5万 km ほどで不具合を起こす場合もあります
不具合を起こした場合の点検方法としてモーターに電源が来ているか確認することモーターのブラシがすり減ってファンの動きが弱い場合などは木片などでファンの中心部を軽く叩いてみて動きに変化があるかどうかを確認します
交換は一般の方では難しいと思うので専門家にお願いしましょう
コンデンサー電動ファンモーターを交換する場合は最低でも5万円ほどはかかるでしょう
8〜エアコンガスの不足や入れすぎ
エアコンガスは液体から気体に変化する段階で周辺の空気を低下させてエアコン吹き出し口から冷たい風を送り出すことができます
エアコンガスが全く入っていないのはもちろん不足している場合や入りすぎている場合も吹出口からの風がぬるくなります
エアコンガスが全く入っていない場合または不足している場合は十分に周辺の空気を冷やすことができず吹出口からぬるい風が出てきます
エアコンガスが入りすぎている場合は配管内のガス圧力上昇をセンサーからの信号でコンピューターが判断しエアコンガス循環系統や他の機器の損傷を防ぐためにコンプレッサを停止してしまう場合があります
そのためにエアコンガスが循環しなくなり吹き出し口からぬるい風が出てきます
よくエアコン無料点検などが行われていますが知識や検査機器がない工場や店舗などで点検した場合に「ガスが不足しています」と言われてガスを補充した後にエアコンの効きが悪くなったりする場合があります
このような場合にはエアコンのガスの入れすぎが疑われます
エアコンの点検をされる場合は整備技術もしっかりと持っていて点検機器も完備している店舗や工場で点検整備されることをお勧めします
通常の車の使い方をしているのであればエアコンガスが不足したりなくなると言う事はありません
そのこともありエアコンガスの点検に関しては8番目に記載しています
(*エアコンが効かないからとやみくもにエアコンガスを補充してからの不具合が非常に多いからです)
ただし車も使用している間の振動や部品等の劣化により5年50,000キロを過ぎるとエアコンガスが少なくなっていたりする場合があります
そのような場合でエアコンの不具合を感じた場合はエアコンガスの不足などが考えられますので点検してもらいましょう
エアコンガスの補充のみの店舗や工場が多い理由はエアコンガス回収機を設置していないところが多いからです
エアコンガスの交換作用をする場合はガス回収機が設置されていなければエアコンガスを大気放出することによるオゾン層破壊の環境問題で交換作業はできません
ただしエアコンガスが全く入っておらず真空引きをしてガス漏れを確認修理して交換作業をする場合はエアコンガス回収機を使わなくてもよいでしょう
エアコンの風がぬるい場合の修理費用の目安
車のエアコンの風がぬるい場合に部品交換をしたり不具合箇所をディーラーなどで修理する場合のおおよその修理費用を記載しておきます
不具合箇所 | 修理内容 | おおよその修理金額 | |
1〜ヒューズ・リレー | ヒューズ/リレー交換*0 | 500-5000 | |
2〜エアコンフィルター | エアコンフィルター交換*1 | 2000-5000 | |
3〜ブロアファンモーター | ブロアーファンモーター交換*2 | 20000-50000 | |
4〜寒暖切り替えサーボモーター | サーボモーター交換 | 10000-20000 | |
5〜エアコンコンプレッサー | コンプレッサー交換 | 50000-100000 | |
6〜コンデンサー | コンデンサー交換 | 30000-50000 | |
7〜コンデンサーファン | ファンモーター交換 | 20000-40000 | |
8〜エアコンガスの不足や入れすぎ | エアコンガス補充/交換*3 | 4000-15000 | |
*0〜リレー交換になると5,000円近くになる場合もあります*1〜各箇所の部品の点検作動確認だけであれば無料から点検料1,000円ほどでしょう/一般的にエアコンフィルターは清掃ではなく交換された方が良いでしょう*2〜各箇所の配線の修理費用は修理内容によります*3〜ダブルエアコン車などは2万円以上になる場合もあります
*新品を使うかは中古品を使うかリビルド品を使うかで値段は大きく変わってきますまた修理費用も店舗や工場によって違う場合もあるので正確な金額はその都度確認されてください/コンプレッサーに関しては基本的にはリビルド品(*4)を使う場合が多いです
(*4)〜リビルト品とは古くなったり壊れたりした部品を分解修理して新品同様に組み立てた部品
エアコンの風がぬるい!その他の原因
不具合を起こす可能性は少ないのですがその他の故障箇所として
- エアコンガス内のゴミやホコリ湿気などを取り除くレシーバーが詰まっている場合
- エバポレーターにガスを吹き出すエキスパンションバルブが目詰まりを起こしている場合
- エバポレーター内の温度を感知するセンサーなどが不具合を起こしてる場合
- エバポレーターからのガス漏れ
- 配線・スイッチ等の不具合によるもの
このような場合は圧力計や専用の機械などを使用する場合がありますので専門的な知識がある電装屋さんに依頼される方が良いでしょう
車のエアコン関連の記事
まとめ
「車のエアコンの風がぬるい原因!壊れやすい「8ケ所」をわかりやすく解説」
と言うことで記事を書いてきました
「エアコンの風がぬるい」最も多い8カ所の故障頻度の多い順に
- 1〜ヒューズ・リレー
- 2〜エアコンフィルター
- 3〜ブロアファンモーター
- 4〜寒暖切り替えサーボモーター
- 5〜エアコンコンプレッサー
- 6〜コンデンサー
- 7〜コンデンサーファン
- 8〜エアコンガスの不足や入れすぎ
であるということを説明しひとつひとつの不具合箇所の点検と簡単な修理方法を解説してきました
エアコンの不具合のみならず車の修理に関しては特に電気系統に関しては一番最初に点検確認をする箇所がヒューズボックス内のヒューズとリレーだということも説明しました
私が所有しているエブリィを参考に車の取扱説明書のダウンロード方法そしてヒューズボックスの場所とヒューズとリレーの点検方法と良否判定の仕方を解説しました
そして国産各メーカーの各車種の取扱説明書のダウンロードリンク先もメーカーエンブレムをクリックすると閲覧できるようにしました
この記事を読まれた方は是非一度リンク先をご覧になりご自身の車の取扱説明書をネットでも見れるということを確認されてみてください
そして2番目にエアコンフィルターの目詰まりにより風量が弱くなりエアコンの風がぬるく感じることやエアコンフィルターの交換方法はエブリィを参考に図解で説明しました
また国産各車種のエアコンフィルターの交換手順のリンク先も記事内に載せました
エアコンフィルターをご自身で交換される場合はこちらも是非参考にされてください
ブロアファンモーターやサーボモーター・コンデンサーファンの良否判定の方法として軽く叩いてみる(衝撃を与えてみる)という点検方法もご紹介しました
日常的に整備士は五感を駆使し上記したように
軽く叩いてみたり/揺すってみたり/温めてみたり/冷やしてみたり
して部品や不具合箇所の良否判定をすることも珍しくありません
ただひとつ気をつけなければならないのは
安全作業を最優先に考えて車の点検修理を行う
ということです
解らないことは無理に作業を進めない
そのような場合には車の知識を持った専門家に必ず相談をされてから
作業にあたるようにしてください
今回も最後までご覧いただきありがとうございました
また次回の記事でお会いしましょう